日本経団連は、不透明でわかりにくいとの指摘がある地方公務員給与の実態等を把握すべく、61の地方公共団体にアンケート調査を実施、その結果 <PDF> を9日発表した。これによると、(1)約9割の団体が定員適正化計画の策定や給与削減を実施している (2)上位資格に格付けされている職員割合は国家公務員より高い (3)枠外昇給は上位資格での比率が特に高い (4)約7割以上の団体が各手当を見直し済・見直す予定と回答している (5)すべての団体がホームページなどで情報を公開している――ことなどが明らかになった。
定員適正化計画を策定している団体は9割以上(91.2%)で、策定内容は、数年度にわたって数百人規模の削減目標を掲げているところがほとんどであるが、千人以上の削減目標を設定しているところもあった。また、定員適正化計画を策定していない団体も、「来年度の計画を策定中」などとなっており、総じて積極的に取り組んでいるという結果となった。
(1) 給料表
平成17年4月1日現在の一般行政職の給料表を調べたところ、約7割の団体が、国家公務員と同じ給料表を適用していることがわかった。
(2) 級別職員数
国家公務員と同じ給料表を適用している団体における地方公務員(一般行政職)の級別職員数の分布を国家公務員のそれと比べると、2〜5級に張り付いている職員割合は国家公務員より低い一方、6〜9級の上位資格に張り付いている職員割合は高くなっている。
(3) 枠外昇給
例外措置として給料表の最高号給を超えて昇給する「枠外昇給」を実施していることが回答団体すべてで確認され、特に6〜10級の上位資格でその割合が高い。
給与等の削減への取り組み状況を聞いたところ、9割弱(89.5%)にのぼる団体が、「知事の給料を50%削減、副知事の給料を20%削減」「給料の削減=部長級10%、課長級8%、その他6%、主事級5%」など、さまざまな削減措置をとっていることがわかった。
平成14〜16年度に手当を見直した団体は、特殊勤務手当では7割弱(68.4%)、その他手当では9割超(94.7%)。
見直し予定では、特殊勤務手当、その他手当ともに8割相当(80.7%、77.2%)の団体が「平成17年度以降の見直し予定あり」と回答しており、今後も手当の見直しに取り組む意向が表れた結果となった。
(1) 公開方法
職員の給与などの資料について、すべての団体が何らかの方法で公開しており、「ホームページ」(96.5%、複数回答)が最も多かった。また、紙媒体での情報公開にも努めており、「公報」(66.7%)や「広報誌」(61.4%)などの回答が多くなっているほか、「その他」(14.0%)では、「地元紙や主要日刊紙への掲載」などの回答があった。
(2) 公開内容
公開内容(複数回答)で最も多かったのは、「職種別の給料・給与の状況」と「級別職員数」で、ともに9割超(93.0%)。このほか、「一部の手当」(63.2%)、「一部の特殊勤務手当」(56.1%)、「ラスパイレス指数の状況」(40.4%)などが回答として多い。
さらに、「その他」(59.6%)として、「給与決定の仕組み」「職員の年齢別年収モデル」「経験年数・学歴別平均給料」などの回答があり、広範な内容を公開していることが明らかになった。
「地方公務員給与に関するアンケート調査」は、地方公務員給与等の実態を調べ、その理解の一助とすることを目的に、61団体(47都道府県と14政令指定都市)に対して実施、全団体から回答を得た。