日本経団連は18日、「企業倫理・企業行動に関するアンケート結果」の中間取りまとめ<PDF>を発表した。同調査の結果、経営トップの約75%が企業不祥事は自社でも起こり得るという危惧を抱いており、約60%の経営トップが、社内の組織・体制を整備したものの中身の充実が課題であると考えているなど、多数の経営トップが危機感を持って企業倫理の確立に取り組んでいることが明らかになった。
同調査は企業倫理月間(10月)の活動の一環として、日本経団連の会員である1558企業・団体の経営トップや企業倫理担当者を対象に実施したもの。402社・団体からの回答があった時点で中間集計結果をまとめ、発表した。最終集計結果については、年内に改めて報告する予定である。
中間集計結果の概要は次のとおり。
最近報道されるさまざまな企業不祥事をみて、どう思うかという問いに対しては74.5%のトップが「自社やグループ会社で起こり得る不祥事であり危機感を持っている」と回答、「自社では起きないと思う」の14.3%を大きく上回った。また、企業倫理徹底のための社内の組織・体制を十分整備したと考えるかについては、「組織・体制は整備したが、中身の充実が課題である」との回答が60.5%と最も多く、「組織・体制をさらに充実させる必要がある」が20.0%でこれに次ぎ、「十分整備した」は7.3%にとどまった。
企業倫理の浸透・徹底のために、自ら実践していることは何かについては(複数回答)、「年頭あいさつ、入社式、研修会などで企業倫理の重要性を自ら社員に訴えている」が75.5%、「社内報、イントラネット、社員あてメール等で自らのメッセージを社員に伝えている」が50.5%、「事業所を回って社員に語りかけている」が38.5%、「浸透・徹底の状況を自ら確認している」が30.0%という結果となった。
企業倫理・企業行動指針などを「策定済み」としたところが83.0%、「策定予定」が8.0%、企業倫理担当役員を「任命済み」が77.4%、「任命予定」が5.2%、企業倫理担当部署を「設置済み」が83.6%、「設置予定」が3.7%となった。
ヘルプラインを「設置済み」としたところは72.4%、「設置予定」は13.4%であった。設置企業における年間利用件数については「10件以下」が53.7%、「50件以下」が16.0%、「51件以上」が6.9%。企業倫理・コンプライアンス違反事例を「なし」としたところは37.1%、「5件以下」が31.2%、「6件以上」が13.4%であった。
ヘルプラインの利用者については、「グループ全体」が57.3%であるのに対し、「自社単独」は42.4%。また、正規社員以外の利用者については(複数回答)、「嘱託・パート・季節労働者」が86.2%、「派遣社員」が83.4%、「アルバイト」が60.7%であり、今後も利用者の幅を広げていきたいという意見もあった。
相談受付の対象行為は(複数回答)、「特定部署の違法行為」83.8%、「特定個人の違法行為」83.4%、「セクハラ・パワハラなど職場環境にかかわる事項」81.7%、「個人情報の保護にかかわる事項」62.1%、「製品やサービスの安心・安全にかかわる事項」61.7%の順となり、社内の不正を広く吸い上げようとしていることがわかる。
企業倫理の浸透・徹底のために実践していることで最も多かったのは(複数回答)、「入社式や研修会などで企業倫理への取り組みの重要性を説明」の81.3%で、「社内報・イントラネットなどを利用して情報提供」の69.2%が、これに次いだ。企業倫理徹底のためのツールとして何を作成・配布しているかについては、「ハンドブックの作成・配布」が57.5%、「カードにして配布」が31.1%であった。
また、企業倫理の浸透・徹底を確認するためにどのような取り組みをしているかについては(自由回答)、「さまざまな研修を企画・実施」「アンケート調査を実施」「研修内容の浸透を確認するためにテストを実施」「内部監査を実施」「自己評価をさせ、結果を報告させる」などの回答があった。
「署名を求めていない」が55.2%と半数を超えた。
「していない」が54.2%で、「している」の32.4%を上回った。