日本経団連の社内広報センターは9月21日、愛知県名古屋市において愛知、岐阜、三重の経営者協会と共催で「第8回中部社内報研究集会」を開催し、約40名が参加した。同研究集会は社内報編集の基礎を習得するとともに社内報担当者の交流を深める目的で、毎年名古屋で開催しているもの。
研究集会ではまず、適応科学研究所所長の相川信彦氏が社内報の企画の立て方、情報収集のコツ、取材インタビュー法、文章のつくり方、著作権の基礎など、社内報づくりに必要な編集実務についての話を行った。
企画を立てる時のポイントについて相川氏は、「企画は単なる“ヒラメキ”からは生まれない。小さなアイデアの積み重ねが必要」と指摘した上で、(1)「マチ・コミ」(現場) (2)「ヒト・コミ」(人間) (3)「マス・コミ」(パソコン、テレビ、ラジオ)――の3大情報源を大いに活用し情報収集をすることの重要性を語った。
このほか、「取材インタビューは事前の準備(段取り)で決まる」「よい文章を書くためには多読・多作・多商量の“3多”を実行せよ」――など、30数年の編集体験を通して得た相川氏自身の編集テクニックを披露した。
続いて、オムロンソフトウェアの出海聡・経営企画部主務が「社内コミュニケーションと個人情報保護」について講演した。
出海氏は、今年4月から全面施行された個人情報保護法とは何か、常に「社員」を紹介することが仕事である社内報担当者はどのようなことに配慮し、どんな対処をすればよいか、といった社内広報担当が危惧している点を説明。その中で、法律に触れないための適切なフォロー点として、「本人が知り得る状態での取得、利用」「本人の同意の上での第3者への提供」「適切な安全管理措置」「適切な委託管理措置」「本人の要望に対する速やかな対応」の5つを挙げたほか、社内報編集において直面する問題の具体的な対応策を紹介した。
最後に出海氏は、「個人情報だからといって社内報に掲載できないということではない。大事なことは通知・公表をして、本人の知り得る状態にしておけばよい。そして、掲載する場合、その目的・趣旨・効果をきちんと社員に説明できることが肝心である」と締めくくった。
参加者からは、「これから社内報づくりをしていく上で多くのヒントを与えられた」との声が聞かれた。