日本経団連の経済法規委員会(御手洗冨士夫委員長、萩原敏孝共同委員長)は、金融庁の企業会計審議会から公表された「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」(以下、「基準(公開草案)」)に対し、8月31日、コメントを提出した。
有価証券報告書の開示内容など、証券取引法上のディスクロージャーをめぐり不適正な事例が相次いで発生したことに端を発して、昨年11月、金融庁から「ディスクロージャーの信頼性を確保するため、内部統制の充実を図る方策が検討されるべき」との方針が示された。これを受けて、企業会計審議会内部統制部会では、今年2月から、財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士等による検証のあり方について検討を行い、7月中旬、基準(公開草案)を公表した。同時に、8月末を期限として、これに対する意見募集が行われた。
今回の日本経団連・経済法規委員会のコメントはこれに応じて提出したものである。
企業会計審議会内部統制部会が公表した基準(公開草案)の概要は、次のとおり。
経営者は、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制について、その有効性を自ら評価し、その結果に基づき報告書(内部統制報告書)を作成の上、外部に向けて報告する。
監査人は、経営者が作成した内部統制報告書が、一般に公正妥当と認められる内部統制の評価の基準に準拠して適正に表示されているかどうかについて、監査証拠に基づいて判断した結果を、内部統制監査に関する報告書(内部統制監査報告書)により、意見として表明する。
なお、既に制度が導入されているアメリカでの反省に基づいて、評価・検証に係るコスト負担が過大とならないような方策(財務諸表監査との一体的実施など)が講じられている。
「基本的な考え方」として、経営者は、有効な内部統制を自主的に整備・運用すべきであり、これを補完する制度の導入に際しては、企業を含めた関係者にとって過度な負担とならないようにすべきであると指摘した上で、コメントを提出した(表)。
[基本的な考え方]
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企業会計審議会では、公開草案における意見を踏まえ、内部統制部会で必要な修正を行った上で、基準の内容を確定する一方、いわゆる「実務指針」を策定する作業部会が内部統制部会の下部組織として設置され、年内を目途にその骨格が示される見通しである。その後(あるいは実務指針の策定と並行して)、本基準適用の義務化の要否や範囲の検討が行われ、必要に応じた法改正が行われると想定される。
日本経団連は、これらの検討のための議論に積極的に参加して、意見を述べていく予定である。