日本経団連の貿易投資委員会(秋草直之共同委員長、佐々木幹夫共同委員長)は9日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、外務省・経済産業省の幹部から、WTO新ラウンド交渉の現状と今後の日本の対応を聴取した。
新ラウンド交渉は、年末の香港閣僚会議で大枠合意に至らなければ、2006年に予定する交渉終結が困難となる。しかしいまだ各国の意見が収斂せず、今年7月末に予定された「たたき台」の提示が見送られるなど、交渉は難航を極めている。
この日の委員会ではまず、外務省の石川薫経済局長が、グローバルな関税引き下げや新興市場開放など、WTOの意義を改めて強調。「WTOを経済外交の基軸と位置付け、注力することが不可欠」と述べた。
続いて近藤誠一国際貿易・経済担当大使が、ラミーWTO新事務局長(今年9月就任予定)の強力な手腕を指摘しつつ、「わが国にとっては、複雑な利害が絡み合うそれぞれのプレーヤーとの戦略的提携が重要」と指摘した。
最後に、経済産業省の小川恒弘通商機構部長が、「非農産品(鉱工業品など)ではわが国のリーダーシップにより、東アジア諸国にも先進国の主張が浸透しているが、強く抵抗するブラジル・インド等をどう説得するかが鍵」と述べた。