日本経団連は16日、東京・大手町の経団連会館でタイのソムキット副首相兼財務大臣との懇談会を開催した。
懇談会には、タイ側からソムキット副首相ほか、ピニット副首相、ワタナ工業大臣らが、日本経団連側からは奥田碩会長、宮原賢次副会長、安居祥策日タイ貿易経済委員長らが出席。現在、政府間交渉が進められている日本とタイとの包括的経済連携協定(EPA)について意見交換を行った。
冒頭のあいさつで奥田会長は、日タイEPAについて、「両国にとってWIN―WINの関係が実現する形で早期に締結されることを強く期待しており、とりわけ、日本経済界が高い関心を有している鉄鋼、自動車・自動車部品等の早期関税撤廃や製造業への投資規制の現状維持の約束、また製造業関連サービスの自由化といった内容が盛り込まれることを要望したい」と述べるとともに、「ソムキット副首相には、大局的見地から、EPA締結に向けたリーダーシップを発揮していただきたい」との期待を示した。
これを受けてソムキット副首相は、「タイと日本両国の良好な関係にふさわしい内容の協定が実現することを願っている。7月に両国首脳間で協定にサインされることを確信しており、そのために共に努力していきたい」と応えた。
その後、日本経団連側からタイ側に、EPAの各分野に関する具体的な要望を伝えた。まず、自動車・自動車部品については、アセアン自由貿易地域(AFTA)が達成される2010年をマイルストーンとして、マレーシアやフィリピンとの大筋合意と同様の早期関税撤廃の実現を求めた。
また鉄鋼分野について、現在タイに輸出されている鉄鋼製品はタイ国内では生産できない高級品であり、地場産業と競合するものではないとの考えを示した上で、「鉄鋼製品の早期関税撤廃は、むしろ、タイ国内の他分野の国際競争力強化に資するものである」と強調。さらに、投資・サービス分野については、現在、基本的に自由に行うことができる製造業への投資に関する協定での現状維持約束や製造業関連サービスの追加的自由化、最恵国待遇の付与を要望した。
最後に奥田会長は、「わが国企業は、タイをビジネスの拠点に位置づけ、すでに多くの投資を行っており、今後も活発な投資を計画している。中長期的観点から、EPAが両国の経済発展に資するものとなるよう期待している」と結んだ。