日本経団連タイムス No.2763 (2005年4月14日)

「民主党と政策を語る会」開催

−「会社法」「環境税」など政策担当幹部と意見交換


日本経団連(奥田碩会長)は7日、東京・大手町の経団連会館で、「民主党と政策を語る会」を開催、民主党の政策担当幹部を招いて、同党の現在の政策や取り組みについて意見を交わした。
同会には、日本経団連から、奥田会長、千速晃副会長、御手洗冨士夫副会長、柴田昌治副会長、三木繁光副会長、宮原賢次副会長、宮内義彦評議員会副議長、前田又兵衞政経行動委員長ら日本経団連の首脳役員や会員代表など約240名が出席。民主党からは、岡田克也代表、仙谷由人政策調査会長、鳩山由紀夫ネクスト外務大臣、横路孝弘ネクスト厚生労働大臣、海江田万里ネクスト経済産業大臣、菅直人ネクスト国土交通大臣ら25名が参加した。

冒頭のあいさつで奥田会長は、政治家に経済の実態を把握してもらうことは極めて重要であるとの考えを示した上で、経営環境がめまぐるしく変化する中では、常に企業活動の最新の情報を踏まえ、積極果敢に政策を立案し、改革を断行してほしいと要望。民主党に対して「ぜひとも責任政党として経済界の声を踏まえた政策を立案し、国会の場で政府・与党と建設的な政策論議を展開していただきたい」と希望を述べた。
また奥田会長は、特に関心を持っている政策課題として社会保障制度の改革を挙げ、「国民負担の増加を抑制しつつ、持続可能な制度を確立するため、もはや抜本的改革の先送りは許されない」と語った。

続いてあいさつした民主党の仙谷政調会長は、「予算編成時には民主党としての予算案を作成・公表し、政府・与党との言論戦に臨んできた」と責任政党として行動してきたことを強調。「われわれがもし政権につけば、改革を断固としてやり抜くという意志をもって、改革に向けた政権運営が立派にできると自負している」と述べた。

意見交換で日本経団連側は、株主全体の利益とならない株主代表訴訟に対する却下制度の導入や委員会等設置会社と監査役設置会社との整合性の確保などの重要性を指摘し、現在国会審議中の会社法案の早期成立を求めた。
また、「環境と経済の両立」に反する環境税創設の絶対反対、外国人受け入れに関する国としての統一的な施策展開、憲法第9条と96条の改正、規制改革の推進などについて経済界の要望や見解を述べた。

これに対して民主党側は、会社法改正に関しては企業のモラルハザードをチェックすることの重要性を指摘する一方で、経済界の意見を念頭に議論していく旨を表明した。また環境税については、その導入が経済に対して瞬間的に悪い影響を及ぼすとしても長期的にはよい構造変化をもたらす、環境税の意味合いは実効性よりも世論喚起のシンボリックなものだとの考えを示した。憲法9条改正の問題に関しては、自衛隊を憲法上明確に位置付けるべきとの考えを表明、規制改革については、中医協改革や市場化テスト導入には賛成する一方、混合診療の容認に関しては慎重論を示した。郵政改革については、金融事業は本来、縮小・廃止すべきであるとし、民営化には反対の立場を表明した。
続いて民主党の岡田代表があいさつに立ち、同党の政策について、「結党以来7年間、議員同士が真剣に議論し直接作り上げてきた政策」であると述べ、官僚任せの政策ではないことや、産業界・有権者の意見を聞いて政策を策定していること、経済界の意見と共通するところが多々あると考えていることなどを強調した。岡田代表は、「われわれの考え方についてはマニフェスト(政権公約)の形で示したいと思う。その策定の過程で、みなさまから意見をいただきたい」とあいさつをしめくくった。

最後に宮原副会長が、日本経団連では、政策本位の政治の実現に向け、政策評価に基づく企業の社会貢献としての政治寄付を推進していることを説明。民主党に対し、「政策本位の政治に向けて、国会を建設的・本質的な政策論議の場としていただきたい」と要望した。

【社会本部政治担当】
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