日本経団連は30日、「2004年9月度退職金・年金に関する実態調査結果」<PDF>を発表した。それによると、賃上げ額の退職金算定基礎額へのはね返りについて、「賃上げ額とは関係なく別建て」としている企業が、調査を開始して初めて5割を超えたほか、別建てしている企業のうち、「ポイント方式」を採っている企業が約7割になっていることが明らかとなった。また、今回は、厚生年金基金の代行返上・解散と、厚生年金保険料率上昇への対応について、初めて調査した。
標準者(学校卒業後ただちに入社し、標準的に昇進・昇格した者)の55歳における退職金(会社都合)をみると、男性の管理・事務・技術労働者・大学卒では2154万円、支給月数35.1カ月分(前回2273万円、36.1カ月分)、同高校卒では1959万円、37.5カ月分(同2093万円、39.4カ月分)、生産労働者・高校卒では1853万円、40.1カ月分(同1848万円、41.9カ月分)となっている。
標準者が60歳で定年退職した場合の退職金は、男性の管理・事務・技術労働者・大学卒では2435万円、支給月数41.5カ月分(前回2512万円、40.8カ月分)、同高校卒では2198万円、42.8カ月分(同2256万円、42.5カ月分)、生産労働者・高校卒では1987万円、43.5カ月分(同1821万円、42.4カ月分)となっている。
賃上げ額が退職金算定基礎額にどのようにはね返るかをみると、「賃上げ額とは関係なく(退職金算定基礎額は)別建て」としている企業が過半数(53.5%、前回43.2%)を占め、初めて5割を超えた。このほか、「賃上げ額の一部が基礎額にはね返る」(26.6%)、「賃上げ額が全額基礎額にはね返る」(15.4%)となっている。
別建ての場合の内訳は、職能等級や勤続年数などを点数に置き換えて退職金を算定する「ポイント方式」が71.3%(同64.9%)、賃金表とは別に退職金算定基礎額表を設ける「別テーブル方式」が20.9%(同24.6%)となっている。
また、賃上げ額が退職金算定基礎額にはね返る場合、どの程度繰り入れられたかをみると、2004年の賃上げ額5691円(昇給+ベース・アップ)のうち、3982円(繰入率70.0%)が繰り入れられている。
「退職一時金制度と退職年金制度の併用」が約7割(72.3%)で最も多く、次いで、「退職一時金制度のみ」(13.5%)、「退職年金のみ」(7.1%)の順。
年金の支払い準備形態は、「適格年金」が58.8%(前回77.2%)、「厚生年金基金」が27.6%(同47.0%)、「確定給付企業年金」が26.4%(同2.6%)、「確定拠出企業年金」が14.9%(同2.6%)となっている。
適格年金や厚生年金基金が大勢を占めるものの、前回よりは大幅に減少した。一方、確定給付企業年金や確定拠出企業年金は大幅に増加、また、「キャッシュ・バランス・プラン(CBP)」を導入している企業(7.5%)もあるなど、退職年金制度の見直しが進んでいることがうかがえる。
厚生年金基金の代行を「返上済み(過去分込み)」が44.7%、「将来分のの認可済み・申請中」「代行返上する考えはない」がともに23.3%、また、厚生年金基金を「解散する考えはない」が半数を超えている(54.3%)。
厚生年金保険料率の上昇への対応では、そのために退職金制度の「見直しをしない」が9割近く(89.3%)にのぼっている。