次代の産業界を担う創造的なリーダー養成をめざす「日本経団連フォーラム21」第15期生・30名の修了式が16日、都内で行われた。
修了式の冒頭あいさつで奥田碩チーフ・アドバイザー(日本経団連会長)は、企業の良きリーダーとなるには、自分なりの死生観をもって仕事に打ち込むことが重要であることや、時代の潮流を絶えず注視し、新たな事態への対処策を常に考えておく必要があることを指摘。メンバーの今後の活躍への期待を込めて、1人ひとりに修了証書を手渡した。
続いて、茂木賢三郎・キッコーマン副会長、清家篤・慶應義塾大学教授の各アドバイザーがあいさつ。この中で茂木アドバイザーは、企業の利害と社会の利害が一見、矛盾するように思える状況が起こることがあるが、企業を発展させると同時に社会貢献を行うのでなければ、企業は存立し得ないと述べ、企業と社会の利害を調和させるという観点から、物事を考えてほしいと語った。
また清家アドバイザーは、日本経済について、かなり順調に回復しているが、一方で労使関係や雇用面では大きな構造変化が起きていると分析。今後のビジネスリーダーの最も重要な仕事は、景気循環的な動きに対応するだけでなく、構造変化を正確に把握して企業の長期ビジョンを構築することであると指摘した上で、そのためには理論や歴史を学び、目に見えぬ真実を把握する力を養うことが必要との考えを示した。
修了証書を受け取ったメンバーは1年間の講座を振り返り、「日常業務を離れて、幅広いテーマを学ぶことができた」「フォーラムを通じて形成された人的ネットワークを、これからも大切にしていきたい」「これまでの自己の仕事、キャリアを真剣に振り返ることができた。これをもとに今後の自分のなすべき仕事を構想していきたい」などの感想を述べた。
日本経団連フォーラム21は、次代を担うリーダー育成を目的に、1990年に設置したもので、日本経団連会長がチーフ・アドバイザーを務める。企業の役員や部長クラスのメンバーが定期的に集まり、企業経営を中心に社会、国際、時事問題など多岐にわたる分野を、経営者や識者の講話、メンバー同士の討議などを通じて学ぶ。その他、海外視察、洋上合宿なども行い、相互啓発を図るとともに、リーダーとしての識見を高める。
2005年度第16期は、5月に開講する。