日韓両国の政労使が一同に参集する「日韓政労使会議」の第4回会合が11日、韓国・ソウル市で開催された。同会議は、経済発展と労働条件の向上という均衡ある目標達成のために、日韓両国の政労使が雇用・労働問題について意見交換を行い、それぞれの知識・経験の共有を図ることで、課題の解決に資することを目的としている。1998年の同会議開始以降、労働関係の大臣レベルを代表とした政労使交流団が2年に1回、日韓を交互に訪問しており、今回は日本側が訪韓団を派遣して開かれた。
今回の会議には、日本側から、尾辻秀久厚生労働大臣をはじめ、日本経団連の加藤丈夫労使関係委員会共同委員長や連合の宮園哲郎雇用法制委員会副委員長らが、また、韓国側からは、キム・デファン労働部長官(日本の厚生労働大臣に相当)をはじめ、キム・ヨンベ韓国経総副会長、ユ・ジェソプ韓国労総副委員長らが出席した。
今回の討議のメーンテーマは「若年者雇用と能力開発」。日韓両国の現状を報告し合うとともに、若年者雇用に関する対策として、家庭や学校、企業、本人が一体となって、教育から職業への円滑な移行や職業への定着に取り組んでいること、さらに、職業能力の向上推進の必要性や公共と民間の役割、経済界の積極的な取り組みなどについて、意見を交換した。
意見交換の中で、日本経団連の加藤労使関係委員会共同委員長は、若年雇用問題についてまず、日本政府が「若者自立・挑戦プラン」などを策定し、関係省庁が総力を挙げてさまざまな取り組みを行っていることに言及し、経済界として、現在進行しているさまざまな施策の着実な実行に期待するとともに、その実績・効果を厳しく評価して、次の取り組みに活かしていくべきであると語った。
その上で加藤共同委員長は、政府の「若者自立・挑戦プラン」の実施において、中央各省庁での連携はできていても、実際の実施主体となる各地域での行政の連携がうまくいっておらず、特に企業と学校の意思疎通が十分にできないとの意見が、各地方経営者協会から寄せられていることを紹介した。
また、若者がニート(若年無業者)やフリーターになるプロセスは多様であることから、職業生活に入る前の家庭・学校生活や職業生活に入った後など、それぞれの段階において、家庭と学校、企業、本人が一体となって、教育から職業への円滑な移行や、職業への定着と職業能力の向上を図る必要があると指摘。若年者の雇用問題に関しては、実態に即したきめ細かい対策が必要であることを強調した。
最後に加藤共同委員長は、日韓両国の政労使による、このような交流を継続的に行うことによって、日韓両国間の良好な関係が一層深まるとともに、労働分野における課題の解決に向けて相互協力ができるとの期待感を示した。