日本経団連(奥田碩会長)は14日、東京・大手町の経団連会館で、中山成彬文部科学大臣との懇談会を開催した。同懇談会は、第3期科学技術基本計画の策定に向けた議論が始められていることを受け、昨年5月に引き続いて開催されたもの。日本経団連からは、庄山悦彦副会長・産業技術委員長、吉野浩行副会長、前田又兵衞政経行動委員長・むつ小川原開発推進委員長、秋元勇巳資源・エネルギー対策委員長らが、文部科学省からは中山大臣のほか、塩谷立副大臣、小島敏男副大臣、結城章夫事務次官らが出席し、今後の科学技術政策のあり方、特に第3期科学技術基本計画について懇談した。
冒頭あいさつで庄山副会長は、「資源の乏しい日本がエネルギーや食料を確保するためには、付加価値の高い製品を輸出する必要があり、こうした貿易構造を維持するには、科学技術が鍵を握っている」と指摘。その上で、「今こそ、これまでの投資で得られた知の蓄積を国民に還元することが求められている。その視点から、科学技術政策、研究開発投資のあり方について議論を深めたい」と語った。
これに対して、中山文科相は、教育改革の必要性に言及した上で、「基本計画策定から10年が経過し、来年は第3期基本計画に向けた新たな取り組みなど、科学技術政策を進める上で重要な年になる」との認識を示すとともに、知の創造と技術革新には投資が必要であり、第3期基本計画に向けて、目標額をしっかりと掲げることが重要との考えを述べた。
さらに中山文科相は、科学技術人材の養成・確保が重要課題であることから、女性の積極的な活用や多様な研究人材の確保が求められるなど、科学技術政策の推進の必要性を強調した。
また、塩谷・小島両副大臣からは、科学技術に対する関心の向上に向けた措置などをはじめ、政策の実施状況についての紹介があった。
その後、産業技術委員会の笠見昭信科学技術政策部会長が、第3期科学技術基本計画に対する日本経団連としての考え方を表明した。この中で笠見部会長は、第3期基本計画においては、めざすべき将来の経済・社会の実現に向けて、(1)国や産業の持続的発展の基盤となる技術領域を設定し、戦略的・重点的に推進すべきであること (2)知の創造を活力の創出へとつなげるべく、世界トップレベルの研究拠点である「先端技術融合型COE」を産学協働で新設すべきであること (3)政府研究開発投資額を増額すべきこと――を求めた。
自由懇談では、日本経団連側から、「世界と競争していく中で、個性やたくましさを育てるといった視点を小中学校教育の中に盛り込むべき」「環境への関心が高まる中、エネルギーと環境を一体的に推進すべき。また、『もんじゅ』を再開すべきである」「宇宙を基幹技術として位置づけ、推進してもらいたい」などの意見が出された。
これらの意見に対して、中山文科相と塩谷・小島両副大臣は理解を示した上で、教育改革の推進とともに、産学連携の一層の推進に向けて、産業界の支援・協力を求めた。