日本経団連の奥田碩会長は6日、東京・大手町の経団連会館で、会長・副会長会議後に記者会見を行った。
まず、春季労使交渉における経営側の基本方針を示す「経営労働政策委員会報告」の2005年版が来週発表予定であることに関連して、春季労使交渉についての考えを問われた奥田会長は、春に闘う「春闘」ではなく、春に討議する「春討」にすべきとのこれまでの考えをあらためて強調。さらに、「労使が一体となって、賃金だけではなく幅広い問題について、春に限らずに年2〜3回討議する場を設けたほうがよい」と語った。
一時1ドル100円近くにまで進むなど、ドル安傾向にある為替の動向については、現在の水準が長く続けば、輸出企業の業績に影響を与えるとの見方を示すとともに、為替や株価など相場は変動するものであることから、一喜一憂するよりも、安定的な経営形態を考えるべきだと述べた。
また、議論が活発化している来年度の予算編成において焦点となっている防衛費と政府開発援助(ODA)の削減問題について奥田会長は、無駄な歳出がないか厳密に査定すべきであるとした上で、日本の国際的立場もあることから、軽々に削減や増額について言わないほうがよいとの考えを示した。
政治関係は冷えているが経済関係は緊密化しているといわれている現在の日中関係に関して、小泉純一郎総理が先般、チリ・サンティアゴで胡錦濤国家主席と、また、ラオス・ビエンチャンで温家宝総理とそれぞれ長時間にわたって会談したことに触れ、日中両国関係にとってよいことだと思うとの所感を述べた。