日本経団連は6日、「郵政民営化の着実な実現を望む」と題する提言を発表した。「官から民へ」の流れの中で、小さな政府を実現する制度・規制の改革が進められており、その中でも郵政民営化は最も規模が大きく、その帰趨に構造改革全体の成否がかかっている。そこで今回の提言はまず、郵政民営化の意義として、(1)公務員数の縮減 (2)財政負担の軽減と歳入増加 (3)資金の流れの改革――を指摘したことに加え、国民の利便性の向上への期待感を表明。その上で、経済財政諮問会議の「郵政民営化の基本方針」の着実な具現化を求めるとともに、適切な民営化を望む観点から、(1)窓口ネットワーク会社にかかる公正な競争条件の確保 (2)適切なリスク遮断 (3)移行期における経営の自由度の段階的な拡大 (4)監視組織によるチェック機能の発揮 (5)民営化後の経営のあり方に関する検討の開始――の5点を提案している。
同提言で示している、制度設計・法案作成に向けた提案内容は次のとおり。
窓口ネットワーク会社については、独占禁止法を適用する。また、ほかに例のない事業内容となることから、事業活動に関するルールなどを整備するとともに、適正な監視を行う。
郵便貯金会社、郵便保険会社において、金融情勢を見つつ、早期の民有民営化をめざす。また、旧契約にかかるリスクが、新会社、預金保険機構、生命保険契約者保護機構に及ぶ恐れを縮減するため、契約分離に当たって公社勘定の損益計算などに関する明確なルールを整備するとともに、適切な開示を行っていく。
移行期における各事業会社の経営の自由度は、民間企業とのイコールフッティングの確保状況、郵便貯金会社・郵便保険会社にあっては民有民営化の進展度にも対応して、監視組織の意見を聞いた上、段階的に拡大する。
許認可を含む経営上の重要事項に関する監視組織の意見について、政府は尊重義務を負うこととする。また、監視組織は、民間有識者で構成し、独自の事務局と強い調査権限をもつものとする。
追加的な国民負担に関する懸念や民間企業の不安を軽減するため、基本方針に定める経営委員会(仮称)を設置し、民営化後の経営のあり方に関する検討を開始する。