東北6県の経営者協会による東北経営者大会の第57回大会(主催=東北経営者協会、青森県経営者協会、協賛=日本経団連)が11日、青森市内のホテルで開かれた。同大会には、東北6県の経営者協会会員企業の代表者ら約640名が参加。日本経団連の奥田碩会長が基調講演を行ったほか、地域振興や政治・経済、産業振興、社会保障、雇用・労働問題などについて、奥田会長、大橋洋治雇用委員長ら日本経団連首脳と参加者が意見を交換。大会の最後には、「豊かな自立する東北」の実現に向けて一体的に取り組むとの決意を示した大会決議を採択した。
「新しい時代の経営と労働の課題」をテーマに基調講演を行った奥田会長はまず、日本企業の最重要課題のひとつは国際競争力の強化であり、そのためには「攻めのリストラ」が重要であると指摘。その上で、日本が今後めざすべき方向性として、(1)現場力 (2)多様性人材立国 (3)科学技術創造立国 (4)交易立国――の4つのキーワードを挙げ、これらが最終的にめざしているのは、高付加価値経営を実現することであると語った。
このうち、「多様性人材立国」について奥田会長は、女性や若年者、高齢者を例に、「才能や能力のある人は性別などを問わずに、それを発揮できる機会を提供することが大切」と述べ、多様な人材を活かす経営が企業の発展には必要と説いた。
その上で、多様な人材が生み出した付加価値を、貢献度に応じて従業員に分配しつつ、企業が適正な利益を確保する「高付加価値経営」をいかに実現するかが、労使の重要な課題であり、そのためにも労使交渉や労使協議を行うことは有益であるとの考えを示した。
また、参加者と日本経団連との意見交換において、観光振興に対する考えを問われた奥田会長は、観光振興は長期にわたる地域の継続的な努力が不可欠であり、外国人が「住んでみたい、訪れてみたい」と思うようにすることが大事であると述べるとともに、インフラ整備の重要性を指摘した。
また、改正高齢者雇用安定法によって、65歳までの雇用延長が義務化されたことへの日本経団連の基本的な考え方を問う質問に対して、大橋雇用委員長は「雇用延長による企業の急激な負担増を回避することは必要」と述べ、今後の経済情勢等を十分踏まえた上で、日本経団連として関係省庁に必要な働きかけをしていきたいとの意向を明らかにした。
大会の最後には、東北の経済界が「豊かな自立する東北」の実現をめざして一体的に取り組むとの決意を示すとともに、(1)少子・高齢化による人口減少社会の明確なビジョン構築と地域社会の基盤整備 (2)企業が高齢労働力を活用しやすい環境整備 (3)農業の競争力向上、「コミュニティビジネス」の振興、外国人観光客の誘致拡大 (4)国と地方との役割分担の明確化と地方の財政基盤の確立――などを、政府等に要請する大会決議を採択して閉会した。