日本経団連は10月25日、東京・大手町の経団連会館で、ハンガリー共和国のジュルチャーニ・フェレンツ首相との昼食懇談会を開催した。懇談会にはハンガリー側からジュルチャーニ首相はじめ、ダブローナキ駐日ハンガリー大使、コーカ経済・運輸大臣、ショモジ次期外務大臣らが、日本経団連からはヨーロッパ地域委員長を務める米倉弘昌副会長やヨーロッパ地域委員会委員らが参加したほか、日本とハンガリーの関係強化に長年にわたり貢献している日本ハンガリー経済クラブの渡里杉一郎会長の出席も得て、活発な意見交換を行った。
開会あいさつで米倉副会長は、昨年9月に日本経団連ミッションの団長としてハンガリーを訪れた際に、EUへの加盟(今年5月)を「西欧への回帰」と位置付け、これを機に一層の経済発展を果たすべく、若いリーダーの指導の下で国を挙げて改革を進めていることに、強い印象を受けたと述べた。
その上で、ハンガリーなどの加盟によってEU拡大が実現、今年6月には欧州憲法条約が採択されるなど、EUの拡大・深化が進む中で、今回の懇談は、ハンガリーが今後どのような国家運営を行うのかについて直接話を伺える貴重な機会であると語った。
これを受けてジュルチャーニ首相はまず、日本とハンガリーが、より包括的で強力な関係を結ぶことが重要であるとし、そのためには両国が、経済関係だけでなく人的関係をより緊密化することや、短期的な目標でなく長期的な利益を考えることが必要であるとの見解を示した。
またジュルチャーニ首相は、1990年代前半には盛んだった日本の対ハンガリー投資が、90年代後半からは減少し続けていることを指摘し、その原因として、日本の投資先が、ハンガリーよりもさらに法人税率や労働コストの低い国に移ったことを挙げた。
その上で、現在のハンガリーが投資先として持つ利点として、高い教育水準による質のよい労働者の存在や研究開発力・技術力の高さなど、高付加価値産業が育ちやすい条件が存在している点にあると強調。ハンガリーは今後も、欧州市場における日本企業の活動のために必要なものを十分に供給できると述べ、両国の一層の経済関係強化を呼びかけた。