日本経団連の産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ関係者連携に関する懇談会(座長=岡村正・産業問題委員長)は15日、東京・大手町の経団連会館で第2回会合を開催した。
会合では、ポケット・モンスターのプロデューサーとして、日本発アニメーションやキャラクターの海外展開を手がけた久保雅一・小学館キャラクター事業センターセンター長と、各地域のまちづくりや地域活性化に取り組む多田宏行・三井不動産S&E研究所所長から、わが国のエンターテインメント・コンテンツ産業に求められる課題を聴取した後、意見交換を行った。
久保センター長は、コミック・アニメコンテンツ制作者の課題としてまず、テレビアニメをハイビジョンに対応させるためには、制作費をスタンダード放送に比べ130%以上アップせざるを得ないと指摘。その高騰した制作費を調達するためには、(1)海外企業との共同制作やファンドを利用したビジネスモデルの検討 (2)インターネットや携帯端末を利用した新たな収益獲得方法の確立――が急務だと述べた。また、国際的コンテンツ流通を活性化させるためには流通事業者と権利者との対話促進が必要との考えを示したほか、昨今急速に普及しているデジタル録画機の弊害についても言及。同録画機の普及による映像パッケージ商品への打撃は避けられないとした上で、HDDレコーダーを私的録画補償金制度の対象機器とすることや、同制度の分配対象者にはコミック作家も含むことなどの見直しが必要と対応策を語った。
さらに久保氏は、携帯電話の使用やデジタル録画機の利用に際しての「デジタルモラル」の確立が最も重要であることを強調し、「デジタルモラル」確立のための児童教育の必要性を説いた。
多田・三井不動産S&E研究所所長は、「明日よりも今日の楽しみを重視する高齢社会の特徴を生かした都市づくりが重要テーマ」と述べた上で、遠景の眺望の良い巨大ビルの林立する無個性な街ではなく、楽しさに出会えるコミュニティや近景で勝負する街づくりの必要性を訴え、日本のキラーコンテンツであるキャラクターを都市空間に生かすべきだと主張。
さらに、日本発コンテンツの空間化・体系化・産業化を図るため、個別・分散的であるコンテンツを総覧できるような「ゲーム・アニメ・ロボット博覧会」を開催すること、また、博覧会の跡地をテーマパークとして日本発コンテンツの殿堂とすることや博覧会を契機にキャラクターロボットの技術革新を進め、キャラクターロボットがいる魅力的な都市空間を創っていくことを提唱した。
意見交換では、「博覧会の開催は、コンテンツ関連のソフトやハードいずれの産業にとってもありがたい話である」との発言があったのに対し、多田所長は「2008年の北京五輪、2010年の上海万博による中国のデモンストレーションを踏まえ、世界が注目するタイミングで、日本としてのアピールを行うべきである」と応じた。