日本経団連タイムス No.2743 (2004年10月21日)

労災保険制度の在り方など中間とりまとめと日本経団連の対応

−労政審などで意見反映へ


厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会「労災保険部会」(部会長=保原喜志夫・天使大学教授)が13日に開催され、「労災保険制度の在り方(通勤災害保護制度の見直し)に関する研究会」中間とりまとめと、「労災保険料率の設定に関する検討会」中間とりまとめ(論点整理)について、報告が行われた。

○ 通勤災害保護制度の見直し

今回の中間とりまとめでは、通勤災害保護制度の見直しの方向性として、(1)二重就職者(約82万人)の第一の事業場と第二の事業場間の移動 (2)単身赴任者(約72万人)の赴任先住居と帰省先住居間の移動――について、通勤災害保護制度の対象とすることが適当であるとしている。
このことを受けて厚生労働省では、11〜12月に労働政策審議会労災保険部会を2〜3回開催し、年内に建議をとりまとめる予定。

これに対して日本経団連は、正社員やパートタイム労働者、派遣労働者等の二重就職に関する実務上の問題点等を検討するために、11月9、30日の2回にわたって、人事労務管理委員会の労働安全衛生部会(久保國興部会長)を開催し、業界や企業との意見交換を実施。これらを踏まえ、同審議会において、使用者側の意見を建議案に反映させるべく対応することとしている。

○ 労災保険料率の見直し

今回の中間とりまとめでは、(1)労災保険率 (2)業種区分 (3)メリット制――の検討すべき3課題について、論点整理を行った。
13日開催の労働政策審議会労災保険部会において労災保険料率の設定に関して使用者側委員が、「平均料率7.4厘のうち1.5厘を占める労働福祉事業のあり方について検討していないのは不合理である」と指摘し、今後の検討項目に入れるべきであると主張した。
今後、労災保険料率の設定に関する検討会で具体的方策などを引き続き検討し、来年1月末を目途に最終報告をとりまとめる予定。さらに、来年4月以降は、同審議会労災保険部会で審議を行い、2006年4月から新しい労災保険料率が適用される予定となっている。

これに対して日本経団連は今月中に、業種団体や人事労務管理委員会の労働安全衛生部会のメンバー会社を対象にアンケート調査を実施し、その結果を踏まえ、日本経団連の対応方針を決定、同検討会や同審議会における今後の審議に、使用者側の意見を反映させていくこととしている。

【国民生活本部安全・衛生担当】
Copyright © Nippon Keidanren