日本経団連タイムス No.2743 (2004年10月21日)

新規学卒者採用選考へ2005年度「倫理憲章」発表

−「公平・公正な採用“徹底”」を


日本経団連は19日、2005年度の「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」(倫理憲章)を発表した。倫理憲章は、就職協定が廃止された1997年以降、企業に責任と秩序ある採用活動を促すことを目的に、毎年策定し発表しているもの。今年の倫理憲章は、2006年の春に卒業する新規学卒者を対象に、(1)正常な学校教育と学習環境の確保 (2)採用選考活動早期開始の自粛 (3)公平・公正な採用の徹底 (4)情報の公開 (5)採用内定日の順守 (6)大学院修士課程修了者と高校卒業者への配慮――を、企業に求めている。

昨年の倫理憲章からの変更点では、地方学生と女子学生に対する公平な採用情報や就職機会の提供を、大学側が特に要望していることから、昨年は「公平・公正な採用の“推進”」としていたものを、今年は「公平・公正な採用の“徹底”」に表現を改め、その実践を企業に強く促すこととした。

また、昨年は、倫理憲章の発表後に、会員企業に広く参加を呼びかけ、賛同企業644社による「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」(共同宣言)を発表。その結果、賛同企業だけでなく、それ以外の企業でも、採用選考活動の早期化に一定の歯止めがかかり、「自社にふさわしい人材と出会う機会が広がった」などの声が企業から寄せられ、大学側からも、「企業が就職・採用環境の改善に向けて、一段と努力する姿勢を示した」との高い評価を得た。

こうしたことから、日本経団連は、今年も昨年同様に共同宣言を実施し、多くの企業が社名を連ねて倫理憲章順守の意思を表明することで、経済界が、公平・公正で秩序ある就職・採用活動の実現に向けて、積極的に取り組んでいる姿勢を明確にすることとしている。
なお、今年の共同宣言は11月下旬を目途にとりまとめ、発表する予定。

【出版・教育研修本部教育問題担当】
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