日本経団連タイムス No.2738 (2004年9月16日)

日本経団連、道経連、第52回北海道経済懇談会開く

−基本テーマ「企業のダイナミズムの発揮と新生北海道経済をめざして」


日本経団連(奥田碩会長)と北海道経済連合会(南山英雄会長)は8日、札幌市内のホテルで「第52回北海道経済懇談会」を開催した。懇談会には、御手洗冨士夫副会長や柴田昌治副会長、西岡喬副会長、出井伸之副会長、高原慶一朗評議員会副議長ら日本経団連首脳役員、北海道経済連合会会員など約120名が参加。「企業のダイナミズムの発揮と新生北海道経済をめざして」を基本テーマに、日本経済と北海道が抱える諸課題や新生北海道づくりに向けた取り組みなどについて意見を交換した。

取り組み策などを論議

開会あいさつで道経連の南山会長は、全国的な景気回復から取り残され、北海道経済を取り巻く環境は依然厳しいとの見方を示した。その上で、北海道経済活性化に向けた活動として、(1)産業クラスター創造活動や次世代型産業技術の推進などによる産業構造の転換 (2)資源循環型社会および安心・安全な北海道ブランドの構築 (3)観光振興などによる国内外との交流の促進 (4)人・モノ・情報のネットワークの構築――などに、道経連が取り組んでいることを紹介した。
続いて、来賓の高橋はるみ・北海道知事が、「北海道が有している雄大な自然や安全で安心な農産物などの素晴らしい宝物にいかに磨きをかけて、北海道経済の底力を全国に発信していくかが重要」とあいさつした。

■ 活動報告

第1部では、日本経団連から、御手洗副会長が「経済法制改革の取り組み」、柴田副会長が「最近のエネルギー政策をめぐる動向」、和田龍幸事務総長が「国の基本問題をめぐる検討」について、それぞれ活動を報告。

一方、道経連からはまず、林光繁副会長が、北海道経済の現状について、北海道開発予算と地方交付税の削減、観光客の減少などにより、大変厳しい状況であることを強調。その上で、観光の振興や社会資本の整備、食料問題への取り組みを、今後の課題として指摘した。
次に、横山清副会長が、産業構造転換に向けた取り組みを報告。北海道特有の資源や技術を新たな視点で見直し、産学官連携による英知の結集を通じて製品やサービスを生み出して新たな産業を創出することが不可欠であることから、「産業クラスター創造活動」と「次世代型産業技術創造活動」を展開していると説明した。
また、道内高速交通体系整備促進による北海道経済の活性化について報告した坂本眞一副会長は、高速交通体系の整備は、日常生活のみならず北海道経済活性化にとっても重要であると述べ、高速道路の整備促進と北海道新幹線の早期完成を引き続き働きかけていくと語った。

■ 自由討議

第2部の自由討議では、道経連側から、北海道の活性化に欠かせない観光産業の振興の観点から、観光情報の発信や受け入れ体制の整備拡充に加え、高速道路の早期整備などの基盤整備が必要との発言があった。
また、北海道など地域経済の活性化には民間の自由な事業展開や創意工夫の発揮を妨げている規制や制度の抜本的改革が不可欠であるとの意見や、北海道が成長・発展し続けるためには新産業の創出による民間産業力の強化が大きな課題であるとの意見が出された。
このほか、7、8月の入園者数が全国一となった旭川市の旭山動物園を例に挙げ、立地や条件に恵まれなくても努力や工夫次第で全国一になれるとして、北海道の活性化に向けた工夫や努力を呼びかける発言があった。

これらの発言に対して日本経団連からは、「観光振興を最重要の戦略課題として認識している」(西岡副会長)、「規制改革のスピードは遅いが着実に進んでいる」(出井副会長)、「起業フォーラム(No.2738-05参照)を開催し、起業家精神に富んだ人材の啓蒙活動を進めている」(高原評議員会副議長)――と応じた。

【総務本部総務担当】
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