日本経団連タイムス No.2735 (2004年8月26日)

「地域活性化」など3ワーキングチーム新設へ/日本経団連、ツーリズム産業活性化ワーキンググループ

−外国人旅行者の誘致へ/地域活性化チーム、モデル地域設け具体案作成


日本経団連の地域活性化委員会・地域政策専門部会の下に設置されているツーリズム産業活性化ワーキンググループ(糟谷愼作座長)は10日、東京・大手町の経団連会館で会合を開いた。この日の会合では、外国人旅行者を日本に受け入れる際の体制整備について改めて報告・確認したほか、外国人旅行者受け入れ体制整備をより具体的に検討するために、3つのワーキングチームの新設を、31日に開催する地域政策専門部会に諮ることを決定した。

「観光」で地域活性化を推進

新たに設置する予定なのは「表示・案内所等の設備に関するワーキングチーム」「安全対策ワーキングチーム」「地域活性化ワーキングチーム」の3つ(いずれも仮称)。メンバーは、ツーリズム産業活性化ワーキンググループ委員のほか、政策のより一層の具現化を図るため、新たに関連の企業や団体などが加わる予定である。活動開始は9〜10月中となる。

このうち、表示・案内所等の設備に関するワーキングチームは、案内表示の多言語化やピクトグラム(案内図記号)化などにより、外国人旅行者が日本国内を一人歩きできる環境を整備するために、(1)外国人旅行者向け表示の統一および普及 (2)外国人旅行者に対応できる案内所の普及 (3)外国人旅行者が一人歩きできるようなガイドブックの検討――を行う。

また、安全対策ワーキングチームは、外国人旅行者が不慮の事態に遭遇した際の適切な対応体制を整備、日本国内を安心・安全に旅行できるようにすることを目的に、(1)外国人旅行者が事件・事故・病気などに遭遇した際の緊急医療体制の研究 (2)外国人旅行者向けアシスタントサービスの検討 (3)外国人旅行者向けの保険の開発――を検討する。

地域活性化ワーキングチームは、地域固有の歴史や文化遺産、伝統芸能、生活文化、景観などを活用し、外国人旅行者にとって魅力ある観光地づくりを行い、地域の活性化を図ることを設置の目的としている。モデル地域を設定して、外国人旅行者誘致のための具体案づくりを行う。

日本の観光振興について、日本経団連は、2000年に発表した「21世紀のわが国観光のあり方に関する提言」で、観光の産業としての重要性や地域振興に果たす役割を指摘した。さらに今年5月に開催した日本経団連の第3回定時総会において、奥田会長が「とりわけ観光の振興は、今後の地域再生を担うばかりか、日本経済全体の活性化や雇用の拡大にも資する」との期待感を表明。同総会決議にも「外国人観光客の誘致を含め、成長が期待される観光産業の振興に官民あげて取り組むことが、地域の活性化につながる」との一文が盛り込まれている。

こうしたことを受け、ツーリズム産業活性化ワーキンググループは、「訪日外国人旅行者の受け入れ体制整備を推進することが、早急の課題」「外国人旅行者に満足して帰ってもらい、再び訪日してもらうには、ハード・ソフト面の受け入れ体制整備が必須であるが、具体的対策の推進は不十分」との認識に基づき、具体的な対応策を検討してきた。今後は、新設予定である3つのワーキングチームによって、より具体的に、日本の観光振興策を進めていく。

【組織協力本部地域政策担当】
Copyright © Nippon Keidanren