日本経団連タイムス No.2731 (2004年7月22日)

日本経団連・日本ミャンマー経済委員会、2004年度総会を開催

−最近の政治情勢など聴取/根本・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授が講演


日本経団連の日本ミャンマー経済委員会(広瀬俊彦委員長)は6日、東京・大手町の経団連会館で2004年度総会を開催し、2003年度事業報告・収支決算、役員改選、2004年度事業計画・収支予算の議案審議を行い、原案通り承認した。このほか総会では、議案審議に先立って、根本敬・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授から、ミャンマーの最近の政治情勢と、今後の日本・ミャンマー関係について話を聴くとともに意見交換を行った。根本助教授の発言概要は次のとおり。

1.スー・チー女史の拘束

2003年5月30日に、ミャンマー第2の都市マンダレー北部のモンユワ市近郊において、同地域を遊説中のアウン・サン・スー・チー女史一行の支持者と、同女史に反対する地元住民約5000人との間で衝突騒動が起こった。その結果、同女史は軍政により拘束され、現在も、自宅軟禁下におかれている。
2002年5月に、同女史の行動制限措置が解除され、「政治の春」と国際世論が盛り上がったが、この事件で一気に冷え込んでしまった。

2.民主主義の7つのロードマップ

2003年8月には、キン・ニュン第一書記が首相に就任し、「民主主義の7つのロードマップ」を公表することで、ミャンマーの民主化に向けた姿勢を対外的にアピールした。7つのロードマップは、軍政の民主化に対して、(1)1990年の総選挙の結果を尊重せず、改めて選挙を行う (2)憲法は国民会議で基本方針を審議するものの軍政が起草する (3)大統領は国会で選出する (4)民主化の明確な期限は設けない――との考えを示している。

3.国民会議の再開

今年5月には、7つのロードマップに基づき、国民会議が再開された。完全非公開であり、詳細は明らかになっていないが、NLD(国民民主連盟)の参加も得られず、さまざまな問題点も指摘されている。

4.ミャンマー民主化への日本の役割

ミャンマーの民主化にあたっては、スー・チー女史が解放され、政治活動の自由が保証されるとともに、国家平和開発評議会(SPDC)のタン・シュエ議長が公の場に登場し、軍政の主体として、スー・チー女史およびNLDと対話を行うことが極めて重要である。
そのために日本は、ODA(政府開発援助)のあり方等を見直しつつ、アセアンや中国、インドなど関係各国の理解を得ながら、その実現を強く求めていくことが必要である。

【国際経済本部アジア・大洋州担当】
Copyright © Nippon Keidanren