日本経団連は12日、「地球温暖化対策の着実な推進に向けて」と題する意見書を発表した。地球温暖化問題では、政府は地球温暖化推進大綱(大綱)に基づいて対策を進めているが、2002年度の二酸化炭素などの温室効果ガス排出量は、1990年から7.6%増加しており、結果は芳しくない。そこで現在、新大綱の策定に向けて、政府で対策の見直しが行われているが、環境省は環境税や排出量取引制度など、産業活動に悪影響を与えかねない追加対策を検討している。
こうした状況を踏まえ、同意見書は、国民・企業・政府が一体となって問題解決にあたることや、民間の自主性を尊重することを主張。さらに、産業界も、民生・運輸部門への貢献など、新たな取り組みを積極的に推進することを宣言している。
同意見書の具体的な内容は次のとおり。
温暖化対策では、大綱で強調されている経済と環境の両立を前提とすべきであり、省エネや技術革新を通じ、経済活動あたりの二酸化炭素排出原単位を改善する対策を中心とすべきである。環境税や企業に排出枠を割り当てる国内排出量取引制度のような、規制的で経済統制的な対策は、我が国産業の競争力を弱め、生産活動を海外移転させ、地球規模での温室効果ガスを増加させることになり、導入すべきでない。
経済活動の変動によって目標が達成されない場合は、クリーン開発メカニズム(CDM)などの京都メカニズムを積極的に活用することが重要である。
温暖化問題の解決には、技術革新を柱とした長期的かつ地球規模の視点からの取り組みが不可欠である。大綱の見直しにあたっては、技術革新の主体である企業の活力を殺ぐことなく、民間の自主努力や創意工夫を中心にした実効のある対策や制度の整備を強く要望する。