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経営タイムス No.2720 (2004年4月29日)

透明で公正な議論を尽くすべき

−独禁法改正


2002年の独占禁止法改正で、法人への刑事罰の上限が1億円から5億円に引き上げられた結果、カルテル・入札談合事件は激減し、2003年は前年(37件)の半分以下の17件(うち14件が入札談合)、課徴金額も約39億円と、過去10年間の平均50億円を下回った。

ところが、公正取引委員会は、さらに独禁法を改正し、課徴金を大幅に引き上げるとしている。しかし、その考え方は、あまりにも短絡的である。

課徴金納付事件の大半は、国の地方機関や地方自治体の公共入札に係る談合であり、違犯事業者も中小から零細規模の企業が大部分である。公共入札制度自体の改革や官製談合への発注者側の処罰のあり方などが解決されなければ、独禁法違反事件をなくすこともできない。また、公正取引委員会が示している独禁法改正案の内容自体も、課徴金引き上げの根拠や具体的な制度設計など、数々の法律的な問題が残されており、独禁法学者や公正取引委員会OBからも、疑問や異論の声が挙がっている。

独禁法は、市場経済における基本ルールを定める経済憲法であるからこそ、その改正も、公正取引委員会の一方的な提案ではなく、経済界や行政、地方自治体、消費者などの関係者に、マスコミや学識者を交えて、透明で公正な議論を尽くすべきだ。


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