経営タイムス No.2705 (2004年1月15日)
日本経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で、スペンサー・エイブラハム・米国エネルギー省長官との懇談会を開催した。懇談会には、日本経団連から秋元勇巳・資源・エネルギー対策委員長はじめ、資源・エネルギー対策委員会委員や環境安全委員会委員、関係者ら約150名が出席。最近のエネルギー政策の動向や今後のエネルギー政策における日米両国の協力のあり方などを探った。
懇談会ではまず、エイブラハム長官が「米国における最近のエネルギー政策の動向」をテーマに講演を行った。このなかでエイブラハム長官は、エネルギーの安全保障・安定的確保という面では、日米両国の抱えている課題がほぼ共通していると指摘。具体的には、(1)ひとつのエネルギーに過大に依存せず、多様なエネルギー源をミックスさせること (2)エネルギー源が多様であるのみならず、その供給地も多様化させること (3)原子力を基幹的な電力エネルギー源とすること (4)水素などの新たなエネルギー源の開発が必要であること――などを挙げ、これらの課題解決に向けて、日米両国が緊密に協力して取り組むべきであると語った。
このうち、原子力については、日米両国が次世代原子炉の開発など技術面での提携だけではなく、原子力の安全性や環境に及ぼす影響の少なさ・クリーンさを国際的にアピールするなど、原子力利用への理解を求める活動の面でも協調して行動する必要があると述べた。
また、日本が青森県の六ヶ所村への誘致活動を進めている国際熱核融合実験炉(ITER)については、「日本への誘致を強力にサポートしたい」との考えを表明した。
講演後の質疑応答で、地球温暖化対策への米国の考え方を問われたエイブラハム長官は、「温室効果をもたらすガスの抑制は必要だが、その削減のために経済成長を犠牲にするという方法は選択しない」として、化石燃料などへの依存度を減らすべく、ほかの効率的エネルギーや新エネルギーの利用促進等で対応すべきだとの見解を示した。