経営タイムス No.2697 (2003年10月23日)
日本経団連は21日、2004年度の「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章(倫理憲章)」を発表した。
新倫理憲章では、(1)正常な学校教育と学習環境の確保(2)採用選考活動早期開始の自粛(3)公平・公正な採用の推進(4)情報公開の徹底(5)採用内定日(10月1日以降)の徹底(6)大学院修士課程修了者および高校卒業者への配慮――の6項目を訴えている。
項目自体は2003年度と大きくは変わらないものの、企業に対する大学側の要望が高い順に項目を並べ替えたほか、大学所在地によって学生の就職活動に不利が生じないよう留意すべきことを新たに付け加えた。さらに、「実質的な選考活動」として面接を例示、「自由な就職活動を妨げる行為」として「正式内定日前の誓約書要求」といった言葉を補うなど、倫理憲章の意図が明確に伝わるように、表現を一部改めている。
◇ ◇ ◇倫理憲章は、1997年に就職協定が廃止されたことから、企業に対して秩序と責任ある採用活動を促すことを目的に、毎年、日本経団連会長名で公表しているもので、今年で7年目。
就職・採用活動の早期化・長期化は大学教育に多大な影響を及ぼし、学生の学習環境を悪化させる一因と指摘されている。
次代を担う競争力のある人材の養成こそ高等教育の使命であり、日本国の将来にとっても重要な課題。採用側には大学教育を尊重し、倫理憲章の趣旨を踏まえた責任ある採用姿勢を貫くことが強く求められる。日本経団連では、会員企業はじめ関係先に広く倫理憲章を周知徹底していくこととしている。