経営タイムス No.2697 (2003年10月23日)
日本経団連(奥田碩会長)は20日、東京・大手町の経団連会館で、アニス・ウド・ドウラ・バングラデシュ経営者連盟会長との懇談会を開催した。同懇談会には、日本経団連から奥田会長、川合正矩・労使関係委員会政策部会長、北村光一・同部会委員らが出席。経済のグローバル化が企業経営に及ぼす影響と経営課題、特に人事労務分野での施策について意見交換を行った。
同懇談会で奥田会長は、日本の構造変化への対応について、「労使が協力して乗り切ることが必要である」と指摘、労使関係がこれまでにも増して重要であることを強調した。
これに対してドウラ会長らは、バングラデシュの労使関係について、「公共部門で争議が起こることもあるが、民間部門はおおむね平和的である」と説明。さらに、バングラディシュのビジネス環境について、「労働者の質が高く、金融などのインフラ面も整備されている」とその良好さをアピールした。
その一方で、同国が製品の約8割を欧米に輸出する経済であり、グローバル化の影響を大きく受けていることから、「人材開発などを通じて、いかに輸出競争力を維持するかが現在の課題」との考えを示した。
また、アジア開発銀行や世界銀行が現在、貧困の軽減に政策の重点を置いていることについて、経済発展を通じた1人当たり所得の増加のほうが重要であるとして、アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)会長でもある奥田会長からも訴えてほしいと要請した。
同席した川合部会長と北村委員は、グローバル化の中で日本企業はこれまで以上に高品質で価格競争力のある製品・サービスの提供を求められているため、人事・賃金制度改革や教育訓練の充実を図っていることを説明。その上で、「改革などを行う過程で痛みが発生することもあるが、この痛みを企業全体で分かち合うことが必要であり、協調的な労使関係がその前提となる」と語った。
このほか、高齢者雇用の確保と若年者失業の削減、輸出競争力を向上するための産学連携のあり方などについて、活発に意見を交わした。