経営タイムス No.2695 (2003年10月9日)
日本経団連の奥田会長は6日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。会見の冒頭、奥田会長から、温暖化対策税(環境税)に対する日本経団連の考え方の説明があった。
その中で奥田会長は、環境省中央環境審議会の委員会から報告された温暖化対策税案について、「とりやすいところから徴収しようとする、実質的な産業界への新たな課税である」と述べるとともに、国際競争力への影響や既存エネルギー税との関係など、さまざまな問題点があると指摘。同日の会長・副会長会議で、日本経団連として反対すべきとの方向で一致したことを明らかにした。
さらに奥田会長は、温暖化対策の検討について、削減が進んでいない民生部門対策をはじめ、徹底的な議論と検証が不可欠とした上で、「民生部門対策は、国民のライフスタイルを変えていくことしかないのではないか」との考えを示した。
日本道路公団の藤井治芳総裁解任については、「(解任ではなく)自ら辞任するほうが賢明ではないか」と述べ、新総裁には、「物事を公平に見ることができ、数字をきちんと把握でき、指導性が高い人がふさわしい」と語った。
また、5日に新政党となった民主党が発表したマニフェスト(政権公約)で、1円以上の政治資金の収入・支出すべてを公開する方針を打ち出したことについては、収入と支出の透明性を求めていることには賛意を示したが、1円でも公開するということには、「手間も経費もかかって現実的ではない」との見解を述べた。
さらに、民主党のマニフェストで消費税を基礎年金の財源に充てるとする方針については、「賛同するが、税率引き上げの時期や引き上げのやり方など、検討の余地がある」と述べた。
年金制度改革については、(1)保険料率 (2)給付水準の引き下げ幅 (3)国庫負担の割合――をどう組み合わせるかが最大の課題であるとした上で、国庫負担の割合は2分の1とし、消費税を主要な財源とする考えを強調した。