[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2682 (2003年7月3日)

日本経団連など経済4団体が開催/メガワティ・インドネシア大統領招き歓迎昼食会

−奥田会長「投資環境整備など要請」

−メガワティ大統領「経済の順調な回復を強調」


日本経団連(奥田碩会長)と日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会の経済4団体は6月24日、東京・丸の内の東京會舘で、国賓として来日したインドネシアのメガワティ・スカルノプトゥリ大統領の歓迎昼食会を開催した。冒頭あいさつで奥田会長は、ASEANの要であるインドネシアと日本との関係強化が極めて重要との認識を示し、特に日本からの対インドネシア投資を促進する上で、「投資環境の整備や経済法制の整備と透明性の確保、労働問題の円滑な解決などが求められている」として、その実現を要請した。あわせて、これらを推進するためにも両国間の経済連携強化への取り組みの重要性を強調した。一方、メガワティ大統領は、「(インドネシアの)経済危機は基本的に終わりを告げた」とあいさつ。インドネシア経済の順調な回復ぶりを強調するとともに、日本企業のさらなる対インドネシア投資を求めた。

主催者を代表してあいさつした奥田会長は、東アジア全体のバランスある発展のために、ASEAN諸国との経済連携の推進が極めて重要だとして、日本経済界は今後もASEAN地域の重要拠点としてインドネシアを重視する考えから、さらなる投資の促進と、それに伴う裾野産業の育成や人材育成に取り組んでいく意向を明らかにした。
さらに、「投資先としてのインドネシアの信認が一層高まることが極めて重要」との認識を示し、そのために、治安の安定を含む投資環境の整備や、税制を含む経済法制の整備と透明性の確保、良好な労使関係への体制整備による労働問題の円滑な解決などが求められていると指摘。これらについては、メガワティ大統領のリーダーシップの下、進展が見られると述べるとともに、課題解決に向けた一層の尽力を要請した。
また、奥田会長は、「ASEAN地域の要でもあるインドネシアとわが国との経済連携の一層の緊密化は、ASEAN全体の発展のためにも重要である」とした上で、両国の経済連携強化の方策については、今月9日に開催予定の両国経済界の会合で議論するとして、その推進に向けメガワティ大統領に理解と協力を求めた。

これを受けてあいさつに立ったメガワティ大統領はまず、数年前の通貨危機によるインドネシアの経済危機は基本的には終わったとの認識を示した一方、「より複雑な新たな問題が出現している」と述べ、その例として、政治の安定性や不安定な治安、地方政府法が引き起こした法の不明確性、労働問題を挙げた。その上で、これらさまざまな問題の解決に「全力を尽くしている」との姿勢を表明しつつも、問題の複雑性、限られた資源、問題の根本的な原因などを考慮すると、「すべては段階的に解決されなければならず、一瞬にしてというわけにはいかない」と語った。
一方で、インドネシアの経済分野での回復は好調であるとし、「(インドネシアの通貨)ルピアは安定し、物価高も沈静、銀行の利子率も低下傾向を表している」と述べたほか、中小企業の活動活発化が消費拡大を促し、輸出の促進は外貨貯蓄量を増加させていると、インドネシア経済の現状を披露した。
また、こうした現状から、「われわれはIMF(国際通貨基金)から卒業の段階にある」と、インドネシア経済の回復に自信を表した。
その上でメガワティ大統領は、順調に回復している現状を踏まえ、日本企業にインドネシアへのさらなる投資を呼びかけた。

参加者が大統領と意見交換

昼食後、2名の参加者がメガワティ大統領に質問し、意見交換を行った。

まず、井口武雄・経済同友会副代表幹事は、インドネシアの首都ジャカルタ市内の交通渋滞と排気ガスに関連して、「健康・自然、さらに経済的な悪影響についてどう考えているか」と質問。
これに対してメガワティ大統領は、「“青空プログラム”など環境対策プログラムの実施などにより、持続可能な開発を進めたい」と語った。

また、JJC(ジャカルタ・ジャパン・クラブ)の曽根貴史理事長は、JJCが改善を求めた、経済活動にかかわる法制度等の重要な24項目のうち12項目が解決しつつあることを受け、「残りの項目の解決に向け、さらに処置をお願いしたい」と要請した。
メガワティ大統領は「引き続き努力したい。適切かつ着実に進めたい」と応えた。

◇ ◇ ◇

メガワティ大統領歓迎昼食会には、日本側からは奥田会長、北城恪太郎・経済同友会代表幹事、宮原賢次・日本貿易会会長、室伏稔・日本商工会議所特別顧問、インドネシア側からは経済担当調整大臣、外務大臣、エネルギー・鉱物資源大臣、産業貿易大臣、林業大臣、国営企業担当国務大臣ら閣僚のほか、両国の経済界関係者約170名が参加した。


日本語のトップページ