経営タイムス No.2674 (2003年5月8日)
厚生労働省の一般事業主行動計画策定指針検討委員会(座長=佐藤博樹・東京大学社会科学研究所教授)は4月25日、女性と仕事の未来館(東京・港区)で第1回会合を開いた。会合では、事務局を務める厚生労働省が、次世代育成支援対策を巡るこれまでの経緯を述べるとともに、同委員会の今後の活動等について説明を行った。
説明の中で、2002年1月に公表された新しい将来推計人口において、少子化の主たる要因として、晩婚化に加え、夫婦の出生力そのものの低下という新たな傾向が認められ、今後もより一層少子化が進む見通しであることを受け、同年5月に、少子化の流れを変えるための実効性のある対策を検討するよう、小泉純一郎総理大臣から坂口力厚生労働大臣に指示が出されたと述べた。
そのために厚生労働省は同年9月、従来の取り組みに加え、もう一段の少子化対策として「少子化対策プラスワン」をまとめ、立法措置を含め、総合的かつ計画的に推進することとし、さらに、今年3月の政府の少子化対策関係閣僚会議において、政府における当面の取組方針がとりまとめられ、あわせて次世代育成支援対策推進法案および児童福祉法改正法案が閣議決定の後、国会に上程されたと、これまでの経緯を説明した。
また、同委員会の今後の活動については、行動計画策定指針に盛り込むべき事項のほか、雇用環境の整備に関する事業主の認定基準や行動計画策定マニュアルについても引き続き検討を行い、6月または7月までに2回程度開催する予定であると語った。厚生労働省では、次世代育成支援対策推進法案が成立した後、同検討委員会での意見を参考にしつつ、行動計画策定指針を策定することとなる。
今通常国会に提出されている次世代育成支援対策推進法案では、地方公共団体および事業主等が、次世代育成支援対策に関する行動計画を策定するとともに、行動計画策定に当たっての拠るべき指針を国が策定することとなっている。そのため、国が策定することとなっている指針のうち、民間の事業主が行動計画策定に当たっての拠るべき行動計画策定指針を検討する上で、幅広く意見を聴取するために、同委員会は設置された。公労使三者の委員12名で構成。
次世代育成支援対策推進法案は、わが国における急速な少子化の進行等を踏まえ、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図るため、次世代育成支援対策の基本理念を定めるとともに、国による行動計画策定指針、地方公共団体および事業主による行動計画策定指針、地方公共団体および事業主による行動計画の策定など、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進するために必要な措置を講ずるもの。
一般事業主(民間企業等)については、従業員の仕事と家庭の両立等に関し、国が策定する行動計画策定指針に即して、目標と目標達成のために事業主が講じる措置の内容等を記載した行動計画を策定し、その旨を厚生労働大臣(都道府県労働局)に届け出る。また、従業員が300人を超える企業については、行動計画の策定・届け出を義務とし、300人以下の企業は努力義務となっている。