[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2672 (2003年4月17日)

多様な就業形態への対応などを評価/雇用保険法改正法案の早期成立求める

−日本経団連・紀陸常務理事、衆院厚労委で意見陳述


衆議院厚生労働委員会が9日、雇用保険法等の一部を改正する法律案などを案件に開かれた。政府参考人に対する質疑に続いて、紀陸孝・日本経団連常務理事、中村善雄・連合雇用労働局長、また、大須眞治・中央大学教授の3人が参考人として意見陳述をした後、議員との質疑を行った。

意見陳述で紀陸常務理事は、同法律案の内容について、再就職促進の観点からの給付の見直しや再就職困難な状況に対応した給付の重点化、多様な就業形態への対応などが行われていることや、保険料負担の急増への配慮がなされていることなどを評価。そのうえで、同法律案の早期成立を図るべきであると述べた。

また、連合の中村局長は、倒産・解雇などの増加によって中高年齢者を中心に厳しい雇用・失業状態に置かれており、雇用保険法はこうした情勢においてこそ、セーフティーネットとしての機能を果たすことが求められていると強調。そうした現状認識に立つと、改正法案における基本手当の給付率・日数や高年齢雇用継続給付の削減などはきわめて問題であると指摘した。

大須教授は、基本手当の給付率や上限額の引き下げについて、ローンや家賃などの出費は失業しても減るわけではないとして、生活保障の観点から疑問を呈した。さらに、新たに設けられる就職促進手当については、短時間労働者など不安定な雇用を増大させるとして、長期的には失業情勢をかえって悪化させるのではないかとの見解を示した。

意見陳述の後、自民党の平井卓也議員、民主党の山井和則議員らと参考人とで質疑応答を行った。雇用保険の給付による失業者の再就職意欲の低下がモラルハザードを起こしているのではないかとの平井議員の懸念に対して、紀陸常務理事は、失業給付を受給し終わってから再就職をする人が多いことを指摘したうえで、今回の法律案はこの点の是正に向けた内容を盛り込んでいると述べ、同法律案の成立によって、この懸念が解消されることへの期待を示した。


日本語のトップページ