経営タイムス No.2671 (2003年4月10日)
日本経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会を開催した。文部科学省の中央教育審議会が先月とりまとめた教育基本法改正に関する答申の内容と高等教育改革について、文部科学省の御手洗康事務次官が講演。御手洗事務次官は、「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成のために、新時代にふさわしい教育基本法が必要」との認識を示すとともに、「国立大学法人化法など、関係6法案を今国会に提出し、その早期成立に全力をあげたい」と述べ、高等教育改革への強い決意を表した。続いて、事務局からは、今年1月に発表した新ビジョンのフォローアップとして、教育政策に関する検討を行い具体的提言としてまとめることや、昨年10月から活動を開始した「職業観・就労意識の形成・向上に関する研究会」のこれまでの活動を報告した。
開会あいさつで樋口公啓・共同委員長は、文部科学省の中央教育審議会が先月まとめた答申に関連し、同審議会の基本問題部会において経済界の意見として、(1)実効ある教育改革につなげる教育基本法とする (2)義務教育のあり方や学校の設置主体などについて多様性・柔軟性を持たせる (3)教育を受ける側の義務も規定する――ことなどを日本経団連事務局が要望したことを説明。また、大学など高等教育改革について、「高等教育の改革は日本の国際競争力の強化という点で非常に重要であり、経済界としても大いに注目している」と語り、その重要性を強調した。
続いて、『「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について(中央教育審議会答申)」ならびに高等教育改革について』と題して、御手洗文部科学事務次官が講演。今回の中教審の答申では、21世紀の教育の基本方針として、
講演後の意見交換では、「学校の会計は見てもよくわからない。企業会計に合わせてはどうか」「経営のできる教育者を育てる仕組みが必要ではないか」――などの意見が参加者から出された。これに対して御手洗事務次官は、「国立大学が法人化すれば企業会計が原則になる」と述べる一方、「経営のできる教育者の育成」については、日本にそのための専門課程がほとんどないとしたうえで、「組織の効率化について企業の考え方が役立つと思う」との見解を述べた。