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経営タイムス No.2670 (2003年4月3日)

CO2排出量減を評価

−日本経団連環境自主行動計画第三者評価委、報告書を発表


日本経団連の環境自主行動計画第三者評価委員会は3月26日、委員会発足後初めてとなる2002年度の評価報告書をとりまとめた。同報告書によると、全体の評価について、各企業提出データや排出量計算式、カバー率、集計方法等は「おおむね問題なし」だが、フォローアップ対象範囲の調整、排出量増減の理由の説明等が不十分であるとも指摘している。

同報告書を発表した第三者評価委員会の山口光恒委員長(慶應義塾大学教授)は会見で、今回の評価結果についてあらためて、基本的には問題はないとしたうえで、「日本経団連の自主行動計画フォローアップでは2001年度の二酸化炭素(CO2)排出量は基準となる1990年度比で3.2%減と成果を挙げている。各参加業界は最善を尽くしており、また、日本経団連事務局の集計方法は適正と認められる」と語った。さらに、「透明性や信頼性をより確保するため、報告書で指摘しているような改善点がある」として、さらなる改善を求めた。また、CO2排出量を減らす有効策については、個人的な見解としたうえで、「排出削減に努めた企業を評価・優遇する制度・仕組みが必要だ」との考えを示し、インセンティブの必要性を強調した。同報告書の概要は次のとおり。

【全体評価】

各企業提出データは省エネ法報告等の裏付けがあり、排出量計算式はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)方式に則っている。カバー率、集計方法等はおおむね問題ないが、フォローアップ対象範囲の調整、排出量増減の理由の説明等が不十分である。

【短期的課題】

(1)フォローアップ対象範囲の調整
ダブルカウントを避けるため、業種間、部門間の調整が必要である。また、業界団体非加盟企業は含めないほうがよい。
(2)2005/2010年度予測値の前提
予測値算出の前提には統一経済指標を用いることが望ましい。
(3)総量目標/原単位目標採用の理由の明確化
総量目標と原単位目標の長所・短所を考慮した目標設定の検討が中期的課題であるが、当面はそれぞれを採用する理由を明示すべきである。
(4)排出量増減の理由説明
個別業種版では、生産量の増減、海外移転、設備稼働率の変化、製品変化、産業構造変化等、排出量増減の理由を詳細に説明すべきである。

【中期的課題】

(1)排出量増減の要因分析
排出量の増減要因と今後の排出量の推移への影響、その結果としての目標達成の見通し、目標の妥当性につき、より綿密な数量分析が必要。
(2)LCA的観点からの評価
従来の産業部門に限定した実績評価に加え、製品のライフサイクル全体でみた排出削減実績の評価方法の構築が望まれる。
(3)専門機関による評価方法およびデータベースの開発ならびに評価
(1)(2)の評価方法の開発ならびにデータベースの構築、さらに、評価そのものを専門の外部研究機関に委ねるのも一つの方法である。

【おわりに】

各業種が上述の課題に自主的かつ積極的に取り組み、環境自主行動計画の信頼性・透明性を向上させるよう期待する。

◇ ◇ ◇

日本経団連は1996年に「環境自主行動計画」を策定、毎年フォローアップを実施している。2002年度は、産業・エネルギー転換部門34業種が「2010年度の二酸化炭素排出量を、1990年度比同水準以下に抑制する」ことをめざし努力している。2002年3月に改訂された地球温暖化対策推進大綱でも、こうした産業界の自主的取り組みが認められ、産業部門の対策の中核として位置付けられたが、「第三者による認証・登録制度の導入」が検討課題として盛り込まれた。
これを受けて日本経団連は、昨年7月に「環境自主行動計画第三者評価委員会」を設置、自主行動計画フォローアップを継続的に評価することとした。2002年度はデータの収集、集計方法の妥当性を評価。日本経団連事務局から説明を聴取、各業種提出データを点検するとともに、数業種からヒアリングを実施した。


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