経営タイムス No.2668 (2003年3月20日)
日本経団連は11日、「エネルギー政策の着実な推進を求める」と題する提言を発表した。同提言は、(1)安定供給の確保 (2)地球環境問題への対応 (3)国民各層の理解促進――の3部構成。
記者会見で秋元勇巳資源・エネルギー対策委員長は、緊迫するイラク情勢や原子力発電停止、高速増殖炉「もんじゅ」訴訟での国側敗訴など、今の厳しい日本のエネルギー事情を指摘し、「原子力発電所が停止したままでは電力を一番消費する夏場に相当の電力が不足する」と強い危機感を示した。さらに、先進諸国に比べて極端に低い日本のエネルギー自給率について、日本のエネルギー自給率20%のうち16%が原子力であり、原子炉の停止による自給率の一層の低下を危惧。
こうしたエネルギー情勢を踏まえ、エネルギー政策に対する日本経団連の考えをあらためて周知させるために同提言を緊急にとりまとめたと説明。さらに、秋元委員長は、安定供給の確保の重要性を特に強調し、「国産エネルギーの比率の向上と海外からのエネルギー供給の多様化による供給源のベストミックスの達成が必要である」と訴えた。
また、エネルギー戦略については、「国全体としてエネルギー政策がどうあるべきなのかを考え、その上で政府と企業の役割分担を考えるべきだ」と述べ、国として確固たるエネルギー総合戦略の確立と推進が必要であるとの考えを示した。