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経営タイムス No.2668 (2003年3月20日)

日本経団連・九経連、九州・山口経済懇談会を開催

−九州・山口地域の自律的経済圏形成へ


日本経団連(奥田碩会長)と九州・山口経済連合会(九経連、大野茂会長)共催による「第55回九州・山口経済懇談会」が13日、福岡市のホテルニューオータニ博多で開催された。会合には、両連合会首脳はじめ九経連会員など260名が参加。「豊かな日本の創造と九州・山口地域の自律的経済圏形成に向けて」をテーマに、税制改正や社会保障制度改革、地域情報化の促進、市町村合併問題などについて活動報告や意見交換が行われた。

税制改正などで意見交換

九経連の大野会長は開会あいさつで、市町村合併問題にふれ、「今後、市町村合併が進み、また国から道州制などが検討されるようになると、地域自らの意志で考え、独自に地域発展に取り組むことが必要になる」と指摘。こうした本格的な地方分権時代の到来を見据え、「九経連では、自律的な経済圏形成に最大限の努力を傾注したい」と強調、そのためのシナリオとして『21世紀の九州地域戦略』をとりまとめたことを紹介した。

奥田会長はあいさつの中で、日本経団連が1月に発表したビジョンをもとに、経済的な豊かさと精神的なバランスのとれた国家実現のための課題として、(1)社会保障制度、歳出構造、税制等の一体改革 (2)mail protected]%b%G%k$N3NN) (3)同質性や画一性を重視する社会から多様性の持つダイナミズムが発揮される社会への転換の3つを挙げた。
このうち、ダイナミズムが発揮される社会への転換の鍵は、「各地域の特色ある発展を実現するための枠組みづくりである」と強調。その上で、九経連が自律的経済圏形成へのシナリオをとりまとめたことに対して「その実現を全面的に応援したい」と述べた。

■ 活動報告

活動報告では、日本経団連の森下洋一副会長が「税制改正をめぐる動向」について、西室泰三副会長が「社会保障制度改革への取り組み」について、岸曉副会長が「IT革命推進に向けた取り組み」について報告した。
このうち、森下副会長は、平成15年度税制改正の最大の成果として「総額6000億円に及ぶ研究開発減税やIT投資促進税制の創設」を挙げ、「これらの税制は、企業の競争力強化に大いに力を発揮するものと考えている」と説明した。

九経連からは、佃亮二副会長が「自律的経済圏形成に向けた取り組み」について、安藤昭三副会長が「循環型高速交通体系の整備に向けて」について、野崎元治副会長が「環黄海経済圏形成に向けた具体的交流活動の推進」について報告した。
自律的経済圏形成の取り組みについては、(1)効率的・効果的な社会資本整備のあり方を選択するという「機能主義」などの視点をもとに諸課題を整理 (2)その上で、九州新幹線の早期整備や九州観光の一体的推進体制の強化など具体的アクションプランとなる25の重点課題をまとめたとの報告があった。

観光の活性化など

■ 自由討議

自由討議では、九経連会員から、地域情報化の促進や市町村合併の促進、新産業・新規事業の創出促進、東アジア人的ネットワークの拡充などについての意見が相次いだ。
また、「外国からの観光客誘致拡大は、国際相互理解を増進する。九州7県でも大都市圏へ宣伝活動を展開し観光の活性化を図っている」といった広域観光推進についての発言もあった。

日本経団連側からは、「日本は観光資源に富んでいる。観光立国に向け、これをいかに外国にセールするかがポイントだ」「日本経団連ではアジア各国との人的交流を進めている」などの発言があった。
次いで、奥田会長が最近の日本の現状について「日本は世界的な改革の潮流に乗り遅れた。そして今、改革の各論段階に入り、改革の痛みが聞こえているが、改革には時間がかかる。その推移を見守るべきである」などと総括した。


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