経営タイムス No.2667 (2003年3月13日)
日本経団連の奥田碩会長は12日、中国地方経済懇談会後の共同記者会見で、鉄鋼や自動車など金属業種の回答について、「ほとんどが定昇中心、ベアなしという意味で、予想通りだった」と述べた上で、その理由として、経営環境や企業業績に対する組合側の高い理解を挙げ、「それを踏まえて組合は要求をした。この点で、労使の意見が合った」との見解を示した。
そのほかの春季労使交渉関連の奥田会長発言は、次の通り。
定昇は、給与が上がらないという印象があるようだが、1年たてば1歳上の人の給与になるので、定昇だけでもよいのではないか。ただし、年代によって賃金カーブを変えることはあり得る。日本の賃金の考え方が変わってきている。
今後の春季労使交渉では、さまざまなことを話し合うべきだ。給与だけでなく、社会制度もある。2人の子どもがいても、1人1部屋を使えるような広い家に、30―40歳代で住めるようにしないといけない。一生のうちに1軒の家を建てて終わりというのは古い考えだ。家族構成によって、家を何回も変えられるようにすべきだ。広い家で思いやりを育むことも必要だ。こうしたことの中に、賃金問題、定昇も関係してきている。日本は世界第2位の経済国家だというが、第2位なら第2位の賃金体系、社会制度、生活を持つべきだ。