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経営タイムス No.2663 (2003年2月13日)

日本経団連がASEAN対話ミッション報告会

−タイ、フィリピンで官民幹部と意見交換


日本経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で、1月26日から2月1日にタイ、フィリピンに派遣したASEAN対話ミッションの報告会を開催した。報告会にはミッション参加メンバーのほか、日本経団連アジア・大洋州地域委員会企画部会の委員を含む約30名が参加。ミッションの模様を事務局および参加メンバーがそれぞれ報告するとともに、意見交換を行った。

冒頭、同ミッションの団長を務めた大川三千男・日本経団連アジア・大洋州地域委員会企画部会長があいさつ。1月27、28日の日タイ経済連携(JTEP)第3回作業部会に、山川清士・日タイ貿易経済委員会日タイ経済連携タスクフォース座長のもとで参加したことや、1月29日以降タイおよびフィリピンの官民関係者と2国間経済連携や日・ASEAN包括的経済連携構想の実現に向けた課題を中心に意見交換したことを報告。また、「ASEANとの包括的な経済連携の実現に向け、具体的な検討材料が多く得られた」と評価するとともに、同ミッションの報告を踏まえ意見交換したいと語った。

続いて行われた事務局からの同ミッションの報告ではまず、日タイ経済連携第3回作業部会について、「日タイの相互理解が進んでおり、タイ側の主張に共感することも多い」と印象を述べた上で、できるだけ早く本交渉に入るべきであるとした。
タイの外務省・商務省幹部との会合では、タクシン首相の強いリーダーシップのもと、JTEP協定締結を通じた日本との経済連携強化に積極的であることを確認。さらに、「タイの経済界は政府の方針のキャッチアップに努めている状態、日系企業はJTEP協定締結により現実問題をどう解決できるか関心が高い」との印象を報告した。

フィリピンではまず、貿易産業省と外務省の幹部らとそれぞれ懇談。外務省幹部は、日本との経済協力を含む包括的な経済連携に対する関心の強さを強調。また、経済界は、政府の基本的スタンスを共有しつつも、経済連携協定をどう活用すべきか模索しており、日系企業も日本との経済連携強化を重視していると述べた。
さらに、今後の対応について、日本が積極的に市場を開放し、イニシアティブを発揮する必要性を指摘した。

次に、同ミッションの参加者がそれぞれ報告、それを踏まえて意見交換を行った。「アジアの動きを実感できた。各国で状況はかなり異なっている」「タイでは中国とすでに物流と人的交流が進んでいるとの印象をもった」「農業と人の移動、そして教育――この3つが大きな課題だとあらためて認識した。日本の要望を明確にする必要がある」「自由貿易協定(FTA)締結のメリットをもっと示さないとならない」――など、さまざまな意見が披露された。

また、事務局から、日本経団連における今後の議論の進め方等について説明。10日の会長・副会長会議で同ミッションの模様を報告し、FTAの今後の取り組み方について議論する予定であると述べた。

閉会あいさつで大川団長は、目まぐるしく変化するアジア諸国に日本が取り残されるのではないかとの危機感を示すとともに、「いただいた意見と今回のミッションで得たことを踏まえ、今後の取り組みを決めていきたい」と語った。


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