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経営タイムス No.2661 (2003年1月30日)

日本経団連、パート労働者の処遇問題で見解


日本経団連は21日、理事会を開き、「パートタイム労働者の処遇問題に関する見解」を発表した。
労働政策審議会雇用均等分科会では、パートタイム労働者と通常の労働者との間の均衡処遇を意図して「今後のパートタイム労働対策」について昨年9月から検討を行っている。今回の見解はパートタイム労働者の公正な処遇を進めるにあたっての日本経団連の考え方を示したもので、人事労務管理委員会等で検討してきた。審議会での検討内容が企業が自主的に取り組むべき雇用管理にかかわる事項であるため、法律による規制を設けることは反対、行政指導についても極力慎重であるべきとしている。概要は次のとおり。

(1)パートタイム労働者の公正な処遇を目指すための企業の取り組みについて

パートタイム労働者の公正な処遇を目指すためには、パートタイム労働者に対する処遇の説明、その雇用管理の改善にあたってパートタイム労働者の意見を聞くための工夫、その苦情の申し出に対する自主的な解決などの取り組みを進めることが必要であり、企業としても真剣な対処が求められる。
こうした努力を着実に積み重ねていくことにより、パートタイム労働者の雇用管理の改善が進み、公正な処遇の実現につながると考える。

(2)職務の内容、意欲、能力、成果等に応じた処遇について

パートタイム労働者についても、職務の内容、意欲、能力ばかりでなく、企業貢献度・成果の向上といった諸要素を適切に処遇に反映させることは企業にとって重要な人事政策のひとつであり、それは企業が自主的に決めるべきことである。

(3)通常の労働者への転換問題について

働き方の選択肢を拡大することは重要であるが、パートタイム労働者の通常の労働者への転換制度を設けることを、法律等で規制することは適当ではない。こうした制度を設けるか否かは企業の自由であり、どのような雇用形態で採用するかは、企業の裁量に委ねるべきである。

(4)職務が通常の労働者と同じパートタイム労働者の取扱いについて

同じ職務、同様の雇用管理の実態を基準に通常の労働者とパートタイム労働者との均衡処遇を求めることは、外形的な基準のみで一律的に処遇の均衡を求めることになり、問題である。なにより企業・職場の実情に即し、貢献度を個別、仔細に評価すべきである。
基本的に、従業員の人事労務管理、処遇は企業労使が自主的に決定すべきことであり、その内容について法律等で規制を設けるべきではない。また、多くの企業が現在、人事労務管理について見直しに取り組みつつある中で、短時間就労者の処遇改善という結果とならざるをえない規制を設け、行政指導を強化しようとする姿勢には反対する。


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