経営タイムス No.2641 (2002年8月8日)
吉川教授の講演を受け行われた討議では次のような問題提起、意見が出された。
閉塞感に包まれた日本を活性化する一つの手段は、思い切って海外に門戸を開くことである。具体的にはFTA(自由貿易協定)を各国と締結し、開かれた経済社会、海外から見ても魅力的な国をめざすべきである。
自由で開かれた東アジア経済圏を確立するため、日本はリーダーシップを発揮していかねばならない。
異質なものを受け入れる「内なる国際化」が大切である。海外から人を受け入れて雇用慣行をグローバル化するなど、多様な価値観を尊重して新日本型雇用システムを追求する必要がある。
都市再生は経済活性化の重要な切り口である。また、諸外国に比べて極めて割高な物流コストを引き下げることは、わが国産業の国際競争力強化の観点からも重要である。そのためにも使途を限定した特別長期目的債を発行、併せてPFI等を活用し、民間資金の積極的活用を検討していくべきである。
国民がより証券投資に参加するようにするために、証券投資の魅力をアピールしていく必要がある。そのベースとしては企業が業績をあげて競争力を高めることが大切である。
市場が活性化しない背景として、銀行と証券の相互参入が厳しく阻害されていたことがある。
高付加価値社会の担い手として、企業は革新的な技術や製品の開発に取り組み、知的財産の保護と、その積極的な活用を目標とすべきである。政府にはこうした活動を支援する諸施策を充実させることが望まれる。研究開発支援制度の思い切った拡充、市場創出をめざした産官学一体となった研究開発の推進、技能・技術を磨く教育制度、人材育成に取り組むべきである。
規制改革は不十分であり、規制は緩和されても数多くの行政指導、報告、届出などが自由な企業活動の足かせとなっている。なお一層の簡素化が必要である。内閣府に予算配分権を与えることと、専属の職員を配置することが必要である。シンクタンクなど、民間からも人材を投入し、国益を中心として世論をまとめる必要がある。