WTOサービス自由化交渉に関する懇談会(司会 團野廣一貿易投資委員会総合政策部会長)/7月25日
7月9日〜12日に開催されたWTOサービス貿易理事会特別会合および関連会合の議論の概要について、外務省経済局国際機関第一課サービス貿易室の下川真樹太室長より説明をきいた。
先進国だけでなく、途上国も積極的に分野別の提案を出す等、日米欧加の四極は、全体としていい雰囲気が醸成されていると認識している。
ただし、途上国は、サービス分野におけるセーフガード規律の導入、ウルグアイラウンド後の自主的自由化に対するクレジット等、サービス交渉の全体的な枠組みが決まらないと、具体的な分野別のリクエスト・オファー交渉には入りたくないと述べており、今後、先進国と途上国がどのように妥協を図っていくかが重要となる。
GATS(サービス貿易一般協定)では、第4モードにおいて、自然人の移動によるサービス提供の自由化を規定している。
自然人の移動については、途上国の関心がきわめて高い。日本は、今次会合において、企業内移転に関する貿易障壁の除去、経済需要テストの基準の明確化、入国に係る基準の明確化等の透明性の向上等の論点について、ペーパーを提出した。
分野横断的な論点としては、GATSの最恵国待遇(MFN)免除、国内規制の透明性、分類、中小企業配慮、相互承認、途上国配慮等が議論された。
わが国は、各国が行っているMFN免除を先進国が率先して撤廃すべきであると述べて、数ヵ国より支持を得た。
実務サービス:
会計、法律、コンピュータ・サービスについて議論があった。法律サービスについては、豪州が限定的免許に関する追加提案を行った他、参照文書を作成したいという国があった。
通信サービス:
郵便・クーリエ、電気通信、音響映像(AV)に関して議論があった。郵便・クーリエについては、エクスプレス・デリバリーとの関係、分類問題等について議論があった。電気通信では、各国による約束の拡大、事業者の民営化等について議論があった。AVでは、文化的多様性と自由化の両立をどのように達成するかについて議論があった。
建設サービス:
途上国を含む多くの国が関心を寄せている。政府調達との関係についても議論があった。
流通サービス:
除外する流通品目の範囲、経済需要テスト等について議論があった。
日本から、技術レビュー、セーフガードに関してペーパーを提出した。また、MFN免除、自主的自由化等についても議論があった。
10月のサービス貿易理事会特別会合では、教育、エネルギー、環境、金融、娯楽、観光、運送サービスについて扱うとともに、改めて分野横断的論点について議論することとなった。