第8回日本ブラジル経済合同委員会(委員長 室伏 稔氏)/9月2日
日本側約110名、ブラジル側約40名の参加を得て、第8回日本ブラジル経済合同委員会が、東京で開催された。両国の経済界代表は、友好的な雰囲気の中、貿易・投資関係の一層の拡大に向けた、具体的かつ率直な意見交換を行なった。また昼食会では、日本政府を代表し高村正彦外務大臣より来賓挨拶があった。なお、当経済合同委員会の前日に、ブラジル側のマスカレニャス団長(ブラジル全国工業連盟副会長)他は、小渕恵三総理大臣を表敬訪問した。 |
![]() 室伏委員長 |
マスカレニャス団長より、
日本側は、煩雑な税制、高労働コスト、未整備なインフラなどのいわゆる「ブラジル・コスト」や治安悪化などをブラジルにおけるビジネス上の問題点として指摘した。ブラジル側は、政府による税制改革に向けた努力を説明する一方で、企業も効率化や製品品質の向上を図るべく努力していると述べた。他方で、農産品、果実、魚介類の対日輸出に関連し、日本の検疫、関税、輸入割当などに対する不満を表明した。
こうした問題点の指摘を受けて、
ペトロブラス(国営石油公社)総裁より、
自動車:ブラジルは国内市場規模(97年には世界第7位)の一層の拡大が見込まれるのみならず、メルコスール市場向けの輸出拠点としても魅力を持つことから、欧米の主要メーカー同様に、日本企業も積極的に投資をすべきであるとの意見が出された。更に部品産業についても、ブラジル国内での生産比率の上昇が望まれるとの指摘が双方からあった。
エレクトロニクス製品:ブラジル側は、日本企業のプレゼンスが全体的に低下しているなか、日本からの積極的な投資を呼びかけられると同時に、半導体部品など部品分野での対日輸出にも意欲を示した。
通信:98年のテレブラス(国営通信公社)民営化に対する日本企業の参加が限定的なものであったことに対する失望感が表明された。また、オペレーターからの受注をめぐるメーカー間の競争が激化するなか、日本企業の積極的な参加が望まれるとの意見が双方から出された。更にブラジル側は、低軌道の人工衛星など宇宙分野における日本企業との提携を呼びかけた。
農業関連産業:ブラジル側は、特に鶏肉および牛肉に関して、他の先進国に比べ、日本の検疫システムが極めて厳しいと述べた。また穀物生産に関しては、新分野の開拓の可能性が指摘された。日本側は、対日輸出拡大に向けて、収益性の向上、品質の向上努力、輸送手段の整備、国際的なネットワーク作り等の必要性を指摘した。
高村大臣は、国際金融危機に見舞われたブラジルの、その後の急速な経済回復を評価する一方で、行財政改革の継続の必要性を強調した。また両国経済関係が、90年代を通じ、総じて満足できる水準になかったと述べるとともに、両国企業が21世紀に信頼できるパートナーとして、貿易・投資関係を強化することへの強い期待を表明し、これを実現する上での、経済界からの両国政府に対する建設的な提案を呼びかけた。
本合同委員会で出された、さまざまな課題をフォローアップしていくための新たなシステムを構築することで、双方が合意した。今後、ブラジル側の提案を待って、具体的なアクション・プランを作成することとなった。また、2000年に第9回合同委員会を開催することで合意した。