1999年度日本ベネズエラ経済委員会 総会(委員長 槙原 稔氏)/6月30日
日本ベネズエラ経済委員会では99年度総会を開催し、98年度事業報告・決算、99年度事業計画・予算を審議、承認した。当日は審議に先立ち、外務省中南米局の山田彰中南米第二課長より、最近のベネズエラの政治・経済情勢について説明をきくとともに懇談した。
本年2月に誕生したチャベス新政権は、既存の政党及び議会への国民の不満を背景として、政治制度の変革に取り組んでいる。当面注目すべきは、7月25日の開催に向けて選挙活動が行なわれている制憲会議である。しかし、制憲会議において具体的に何が議論されるかは明らかでない。
外交面では、現在まで目立った動きが無いが、チャベス大統領は10月には日本を始めとするアジア諸国への訪問を希望している。
ベネズエラ経済は、昨年夏頃から、世界経済危機の影響や石油価格の低迷のために急速に悪化している。最近の中央銀行の発表によると、99年のGDP[email protected](8+DL$7$O!!!]9.0%と、89年の−8.3%以来の厳しい数字となっている。特に、OPECによる追加減産、ベネズエラ石油公社の事業計画の見直しを主因に、石油部門の成長率は、−12.1%となっている。インフレ率見通しも24%と、中南米で2番目に高い水準となっている。
しかし、最近の石油価格の上昇は、ベネズエラ経済の回復に好影響を与えている。
経済再建及び歳出削減を目指し今年3月に発表された経済政策の主な内容は、マクロ経済安定化基金の適切な運営、公的対外債務の返済、低金利、為替バンド制の維持、国内産業の活性化、民営化、税制改革等であるが、現在までのところ具体化していない。
マクロ経済安定化基金は、石油価格が基準値1バレル9ドルを超えた場合に、歳入の超過分を貯え、債務救済基金、社会保障基金、投資基金等に分散して使用することとなっている。
民営化では、97年末に民営化されたオリノコ鉄鋼は今年の4月末以来、生産が停止している。また、アルミ関連企業のベナルム社については、株主の権益が制限されているため、入札が不調である。