首都機能移転推進委員会 新東京圏創造のためのワーキンググループ(座長 國信重幸氏)/5月17日
新東京圏創造のためのワーキンググループでは、1997年4月の発足以来、首都機能移転後を見据えた21世紀の東京圏のあり方について検討を行ない、昨年4月には、首都機能移転推進委員会での審議を経て、報告書「新東京圏の創造−安心・ゆとり、魅力、活力を兼ね備えた都市づくりに向けた提案−」を取りまとめた。当ワーキンググループでは、報告書に掲げた提案の実現方に向けて、国際都市東京の競争力を高め、魅力ある東京圏をいかに構築するか等について、検討を重ねるため、都市開発プロデューサーである梅澤忠雄氏を招き、世界都市東京の本格的再開発の方策について説明を聞き、意見交換を行なった。
地方から大都市圏への公共投資の重点のシフトとともに、21世紀のわが国は、公共による事業が半減し、今までの公共投資のかなりの部分を民間が担う時代に突入する。
民間側は、
長期的な視点を備えていたサッチャー元英国首相は、強力なリーダーシップの下、金融をはじめ、医療、農業、教育等の領域で、ビッグバン・プロジェクトを決行した。ロンドン市の強い抵抗にもかかわらず、ドックランドの都市計画権を同市から取り上げ、エンタープライズゾーンを設け、ロンドンの代表的な金融街であるシティーとは別に、フィナンシャル・センターをつくった。ゾーン内では時限措置として、事業税を10年間無税としたため、新センターには世界中から証券会社、銀行が殺到し、ロンドンは国際金融センターとして再生を遂げた。
ニューヨークのウォール街同様、若いビジネスエリートに人気の高級住宅を大量供給することにより、高額所得者の納税に加え、ショッピングや外食等の諸サービス業にも波及効果をもたらし、ロンドン金融街付近は活況を取り戻した。
大都市中心部の夜間人口について見ると、ニューヨークのマンハッタンが150万人を数えるのに対して、東京都心4区はわずか50万人に過ぎず、経済的な損失は大きい。日本開発銀行の報告によれば、対日直接投資はあるべき規模の10分の1にとどまっており、最大の障害は、明らかに、都心型高密住宅地区の不在である。東京圏の劣悪な通勤事情のため、オフィスワーカーが長距離通勤を強いられ、日本から香港やシンガポールに企業が逃避する一因となっている。都心部の住宅再開発を大規模に促進する必要がある。
![]() | ロンドンのキャナリー・ワーフの開発は、建設中のキャナリー・リバーサイド計画(手前)で最終章を迎えようとしている。右手奥に見えるのは建設中のミレニアムドーム。 |
英国のあるシンクタンクは6つの新たな国家アイデンティティを示し、反響を呼んだ。それが、ブレア首相による「ニュー・ブリテン」構想である。
6つのアイデンティティとは、