経団連くりっぷ No.43 (1996年11月14日)

経団連・ドイツ産業連盟共同宣言/11月1日

地球温暖化防止に関する共同宣言を発表


経団連とドイツ産業連盟(BDI)はかねてより地球温暖化対策をめぐって連携を図ってきたが、コール首相訪日に随行して、BDIのハンス・オラフ・ヘンケル会長が来日したのを機に、豊田経団連会長とヘンケルBDI会長は「地球温暖化防止に関する共同宣言」に署名した。即日、両国政府をはじめとする関係方面にも写しが送付された。今回の共同宣言を契機に、温暖化問題について産業界の国際的な連携が一層進展するものと期待される。共同宣言全文は次の通り。

地球温暖化防止に関する共同宣言

経団連とドイツ産業連盟(BDI)は、環境問題、特にCO2の排出削減の手段をめぐって、緊密な協力を進めていく。両団体は、炭素税については、その効率性や地球規模でみた場合の効果の点で疑問があるという点で一致した。
両団体は、より効率的に環境政策目標を達成するためには、むしろ、産業界、政府、市民が連携・協力を図るべきであると考えている。このような観点から、BDIと経団連は、とりわけ地球温暖化防止の分野においては自主的取り組みに最も重きを置いている。
地球温暖化を防止する上で、一国のみの努力あるいは強制による取り組みは、責任ある態度とはいえない。もし、ドイツと日本の技術水準が全世界の産業活動に適用されるならば、莫大な量のCO2削減が可能となろう。従って、日独の先端技術のより広範な適用と技術移転の増加こそが、省資源と全世界的な地球温暖化防止にとって欠くことのできない前提条件である。
しかしながら、省エネ・省資源技術の移転は、適切な枠組みが整備され、かつ政治的なリーダーシップによる強力な支援があって初めて実現するものである。そうした枠組みと政治の支援が、技術を供給する国と受け入れる国との相互理解の促進、ならびに望ましい投資環境の整備につながる。
ドイツと日本の産業界は、ベルリンでの気候変動枠組み条約第1回締約国会議において決定された「共同実施パイロットフェーズ(共同実施活動)」に積極的に参加する意志がある。
特に地球温暖化を防止する観点から、CO2を排出しない原子力エネルギーは、極めて重要である。原子力エネルギーは、独立した安全なエネルギー供給源であり、環境面からも経済面からも利点があるという理由により、国際的なエネルギーミックスの中で重要な役割を担っている。

1996年11月1日

(社)経済団体連合会
 会長 豊田章一郎
ドイツ産業連盟
 会長 ハンス・オラフ・ヘンケル

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