東アジア自由経済圏に参加する国々の間では、モノ、サービス、人、カネ(資本)、情報が自由に移動することになります。たとえば、モノについては、農林水産分野を含め、すべてに対して関税が撤廃されることになります。基準・認証制度などを各国で統一することにより、非関税障壁も撤廃されます。また、サービスについては、いわゆる内国民待遇が与えられることにより、各市場へのアクセスが容易になります。
重要なのは、ヒトの移動の自由化です。特に高度な専門家・技術者、トップマネジメント・ミドルマネジメント層などが域内を自由に移動し活動できるようにすることが必要です。弁護士や会計士、医師などの専門資格については、各国で相互認証を進め、どの国でも専門的な業務ができるようにします。
カネ(資本)については、アジア地域の高い貯蓄率を投資に結びつけるという視点が必要であり、そのために金融・資本市場の整備を進めなければなりません。また為替変動のリスクや通貨交換のコストを気にしなくても済むよう、通貨統合を実現することも急がれます。真に国境のない単一市場をつくりあげる観点から、利害を超えた協力が求められます。情報については、ハード面でブロードバンド網の整備を進め、安全な電子決済のシステムが構築される必要があります。
このような自由が実現すると、下図にあるように、国境を越える新しい分業体制が確立し、グローバル競争に打ち勝つ東アジアができあがることになります。