日本が再び活力を取り戻すためには、多様性の容認という視点が欠かせません。その観点から、新ビジョンでは、外国人も日本においてその能力を発揮できる環境をつくり上げることを提唱しています。
すでに日本では、専門的、技術的分野において外国人の受け入れが認められていますが、企業や社会のニーズから見ると限定されています。例えば、「教育訓練や能力開発を目的とした企業内移動」は制約があります。また、海外の事業者による日本でのサービス提供のための人材派遣(労働者派遣法)、外国人医師による日本国内での診療(医師法)などは、国内法の改革が行われないために制限されています。さらに、法務、会計、税務などの分野については、海外において外国人が得た資格(弁護士、会計士等)の二国間・地域間の相互認証を進めていくことも急がれます。
一方、いわゆる製造などの現場で働く外国人の受け入れについては、諸外国での受け入れ事例などを参考にしながら、より透明で安定した制度のもとで受け入れるシステムを本格的に設計することが求められます。下の表は、諸外国の受け入れシステムの類型を示したものですが、例えば日本と同じように先端産業の活性化を通じて経済発展を図ろうとしている台湾では、諸外国との協定によって専門的、技術的分野以外の外国人を広く受け入れています。
台湾の場合、企業が外国人を雇用する手順として、まず求人企業が公的就業服務センターに求人情報を登録することから始まります。求人情報は、3日間公開された後、14日間求職者からのアプローチを待ちます。この間、台湾人からの照会がない場合にのみ、外国人を雇用しても良いことになります。このような制度のもとでは、外国人が台湾人の職場を奪っているとは必ずしも言えず、しかも、厳格に運営されている制度のもとで、不法残留者は極めて少ないと言われています。
新ビジョンでは、東アジアにおける自由経済圏の実現を訴えていますが、人の移動の自由化は、そのためにも欠かせません。
労働市場テスト | 一定期間求人を出して国内の労働者によって充足されない 場合に外国人の就労許可を与える |
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受け入れ上限制 | いわゆる数量制限 |
金銭的負担 | 雇い入れ企業に対する雇用税、供託金制度など |
二国間協定、FTA による自由化 |
受け入れ人数、期間、職種などを二国間で取り決め |