新ビジョンでは、個人に画一的な生き方、横並びを強いる社会が過去のものになったという認識のもと、さまざまな提案を行っています。そのひとつが「州制」の導入です。明治以来の中央集権・官主導を基本とする統制型の国家システムは、日本を世界の大国に押し上げました。しかし、このシステムは、個人や地域の多様性を認めながら、社会の活力を引き出していこうという現在の動きに合致しなくなっています。個人の多様な価値観、必要性、生活様式・社会活動に対して柔軟に対応できる、特色ある地域が育つよう、日本の新たな発展の基盤となる制度を考えてみようというのが、州制の導入提案の趣旨です。
具体的には、個人の取組みをベースとして、個人に近いところから課題を解決していく枠組みを地域主体でつくり上げていくという観点から、中央、州(地域の広域政治・行政体)の両政府と、現行の市町村より広域的な自治体の3つの政治・行政組織が、それぞれの所掌分野について責任を持って遂行する、新しいシステムを構築することです。広域的な力強い地域の行政体が相互に競い合うとともに、それを通じて、各州政府、自治体が住民、あるいは企業の満足度を高める政策を推進するため、国の握る巨大な権限・機能を分割します。
図のように、新しい中央政府の権限は、外交、防衛、国際協力、通貨、マクロ経済政策など、国全体として整合性が必要な範囲に限定します。そして、国民の生活や企業の活動に密着した分野、たとえば社会資本整備や地域の環境対策などの内政分野については、各地域の州政府(全国で5〜10)、ならびに現在より広域的な自治体(300程度)の所管とします。