3月28日/社会貢献担当者懇談会「変化する企業と社会貢献」(座長 島田京子氏)
近年、外国人の滞日化が進む中、多様な文化背景を持つ子どもたちがともに学び、暮らすコミュニティが日本各地で増えている。子どもたちが、互いの「違い」を恐れることなくともに生活していけるようサポートすることは、今後の日本社会にとって重要な課題である。そこで、外国人が1万人(住民の約1割)在住する神戸市長田区で子どもたちによる映像制作・発信を支援しているたかとりコミュニティセンターの、スタッフと子どもたちから話をきき、ビデオ上映も交えて懇談した。 | |
映像技術の研修を受ける スタッフと子どもたち |
たかとりコミュニティセンター(TCC)は、阪神・淡路大震災の救援活動の拠点としてスタートし、現在は8つのNPOが多文化共生のまちづくりに取り組んでいる。TCCには、8言語(韓国語、中国語、ベトナム語、タガログ語、スペイン語、ポルトガル語、英語、日本語)で地域情報を伝えるFM放送局のほか、子どもたちを支援するワールドキッズコミュニティなどがある。
ワールドキッズコミュニティのプログラムの1つ「Re:C」は、多様な文化背景を持つ子どもたちが思いを発信する映像制作活動である。日本の学校生活では『皆と同じ』ことが正しいとされ、違いが目に見えると子どもたちは萎縮してしまう。多様な文化背景を持つ子どもたちがそれぞれの思いを発信することによりアイデンティティを確立する手段として映像制作を選んだ。少し年上の若者がスタッフとして手伝い、試行錯誤しながら一緒につくっていく過程で、自らも多文化への理解を深めている。
これまでに5作品が完成したが、その一部はインターネット上で見ることができる( http://www.tcc117.com/facil-kids/kids/total/top.htm )。映像は大きな力を持っており、子どもたちが伝えるものは、大人にも素直に入ってくる。今後は、全国各地の人々が同様の取組みができるようネットワークづくりをしていきたい。
『かべのひみつ』『日系ブラジル人の私を生きる』等の4作品を上映した後、制作者のマツバラ・ルマさん(中1)とシラカワ・エリアネさん(小6)から作品に込めた思いや制作上のこだわりをきいた。また、高校時代にTCCのラジオ番組でDJを務めたマツバラ・ユカさんは「表現するようになり自分がわかってきた」と自らの体験を述べた。企業の社会貢献担当者からは、「進学、就職、結婚など日本社会はいろいろ壁をつくってしまっている。大人たちは気づきながらも未だに放置している」「“違い”から学ぶことは多い。日本人の子どもたちも交えて双方向で活動が展開されることを期待したい」などの発言があった。