2月3日/経済法規委員会コーポレート・ガバナンス部会(部会長代行 石嶺幸男氏)
コーポレート・ガバナンス部会では、2月3日に、日本投資環境研究所の関孝哉首席研究員を招き、昨年の欧州視察結果を中心に、欧州のコーポレート・ガバナンス改革についてきいた。
欧州のコーポレート・ガバナンス改革のきっかけは、1990年代初頭の不正な財務報告、企業破綻などである。これら事件の反省に加えて、米国機関投資家の影響も大きく、年々の対欧投資も増えている。
英国の場合、法律による強制を避け、1992年のキャドバリー報告書、1998年のハンペル報告書、同年の両報告書の統合規範、03年のマイナース・レビューと、民間が検討作成したコーポレート・ガバナンスの規範を上場規則によって遵守するよう求めている。
ドイツでは、資本市場改革の一環として、2002年に学者、実業家、労働組合がコーポレート・ガバナンス原則(クローメ規範)をまとめた。英国に比べると、政府が主導的に規範づくりに関与している。監査役会に労組代表を半数含む共同経営方式には批判があるが、政治的に改正は難しい。ダイムラー・クライスラーの合併の際にも労組の代表が経営陣に迎え入れられている。
フランス企業はエリート校出身の官僚退職者がトップ企業のPDG(President Directeur General、会長兼最高業務執行役員)に就任し、権限が集中する傾向にある。しかし、1995年と1999年のヴィエノ報告書がPDGへの権力集中を認めず、監督と執行の分離を求めている。また内部統制やリスク管理の規範づくりが遅れているという問題がある。
いずれの国においてもコーポレート・ガバナンス規範の遵守は企業の自主性に委ねられる。規範を遵守しない場合には理由の公表が求められる。
米国のエージェンシー理論(代理人に高額なコストを払いチェックすること)に対し、欧州は経営者の資質に期待するシステムである。取締役会の体制よりも内部統制やプロセス、従業員教育が重視される。