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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 北陸地方経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2023年11月27
一般社団法人 日本経済団体連合会

【太田副会長ご逝去】

つい最近まで経団連活動に参画されていたため、突然の訃報に接し、驚きを禁じ得ません。

太田副会長とは、3年前に副会長にご就任以来、わが国が直面する内外の諸課題について、膝を突き合わせて話し合ってきました。そうした折々、豊富な経験と幅広い分野における高い識見に裏打ちされた発言の数々に敬服いたしました。「分厚い中間層の形成に向けた検討会議」にもメンバーとして参画し、報告書「サステイナブルな資本主義に向けた好循環の実現」の取りまとめに大いに貢献されました。同報告書は、経団連が掲げるサステイナブルな資本主義の実現を支える政策の柱となっています。また、金融・資本市場委員会委員長として、内外の機関投資家とも熱心に対話を重ねてこられました。デジタルトランスフォーメーション(DX)にも造詣が深く、金融分野における推進の旗振り役をつとめてこられたことも強く印象に残っています。

まだまだご活躍いただき、経団連活動を支えてもらいたかった方だけに、誠に残念です。

心より哀悼の意を表します。

【賃金引上げ】

経団連の集計では、今年の賃金引上げ率は3.99%(大手企業)で、このうちベースアップ分は2%強と推定しており、政府・日銀の目指す「適度な」物価上昇率2%に負けない水準である。他方、現在のコストプッシュ型のインフレにベースアップだけで対応することは現実的でない。実質賃金を公表している毎月勤労統計調査には、ベースアップは反映されるが、定期昇給などの制度昇給は数値として十分に表れないため、現状、実質賃金はマイナスが続いている。使用するデータの集計方法などをよく精査したうえで議論をしていく必要がある。

そのうえで、政労使の意見交換(11月15日)でも申し上げたとおり、来年の春季労使交渉では、引き続き企業の社会的責務として、今年以上の熱量をもって賃金引上げに取り組んでいく。デフレからの完全脱却に向けた官民連携が重要であり、可処分所得を増やして一時的なインフレを官民で乗り越えるという岸田首相の方針に賛同する。

地方を含め社会全体で賃金引上げを実現するためには、労働者の約7割を雇用する中小企業において、労務費を含めた価格転嫁が適切に行われることが最重要である。経団連全会員企業のうち「パートナーシップ構築宣言」に参画しているのは5割弱であるが、発注側の企業が中核を成す会員を見ると、資本金100億円以上の企業の8割近く、時価総額ベースでは全会員企業の約9割が参画している。発注側、受注側の双方で価格転嫁が適切に行われることが重要という社会通念を浸透させていく必要がある。経団連は引き続き、「パートナーシップ構築宣言」への参画を呼びかけていく。

【北陸新幹線】

〔北陸新幹線の大阪までの全線開業への期待を問われ、〕北陸地方は、食、自然、景観などの面で非常に魅力的な地域である。来春の金沢-敦賀間の開業は、観光やビジネスによる交流人口の拡大を通じて、投資の促進にもつながる。北陸経済連合会の試算によれば、大阪までの全線開業は年2,700億円の経済波及効果があるとのことであり、関係者間で財源の確保等に向けた議論が進むことを期待する。

【技能実習制度】

〔技能実習制度に替わる新たな制度に関する政府有識者会議の最終報告書にて、実習生が原則1年で転籍可能とする方向性が示されたことについて問われ、〕最終報告書はまだ公表されていないため、具体的なコメントは差し控えるが、最優先すべきは外国人技能実習生の人権尊重・保護であり、3年間転籍できないという現状の制度は見直す必要がある。他方、技能実習生が日本で技能を習得することで、キャリア形成を図るという点も重要であり、キャリア形成に支障が生じるような仕組みは避けるべきである。過度な転籍によって実習生のキャリア形成や受入企業の事業に悪影響が出ないように制度を設計してほしい。

【大阪・関西万博】

〔木造の大屋根(リング)の必要性や、閉幕後の再利用、移設について問われ、〕木造のリングは万博のシンボルである。世界が分断の危機に瀕している今、多様性を尊重しつつ、世界が一つになって連携する必要がある。リングはそうした理念を象徴するものであり、是非完成させたい。

また、閉幕後の再利用や移設については、関係者が知恵を絞って検討する必要がある。

以上

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