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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 北海道経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2023年8月28
一般社団法人 日本経済団体連合会

【北海道経済】

インバウンド需要が回復傾向にある。9月にはアドベンチャー・ツーリズムの世界的な商談会・イベント「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」も北海道で開催予定であり、一層の観光需要の回復を期待する。

北海道経済はエネルギーとデジタルの分野で可能性を秘めており、展望は非常に明るい。まずエネルギーについて、再生可能エネルギーの分野で全国有数のポテンシャルを有している。もっとも、日本の立地特性からすると再生可能エネルギーだけでは万全ではない。将来、核融合発電につなげていくことも視野に、泊原子力発電所の再稼働も含めた原子力発電の一層の活用が不可欠である。昨日(8月27日)、幌延深地層研究センターを視察した。原子力発電により生じる高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の試験研究を行う施設である。地方自治体の協力を得ながら最終処分の研究に貢献しておられるのを直接確認できたことは意義深かった。グリーントランスフォーメーション(GX)において北海道が大きな役割を果たすことを期待している。

デジタルの面では、ラピダスによる次世代半導体の量産はロマンあふれる壮大な挑戦である。ラピダスを軸とした、北海道における半導体産業の集積は、ご当地の景気浮揚にも大いに役立つ。また、産業のコメと呼ばれる半導体は経済安全保障の観点からも、わが国にとって重要であり、安定調達は至上命題となっている。官民連携の取り組みが不可欠であり、フレンド・ショアリングの中で開発を進めていってほしい。

【ALPS処理水海洋放出】

IAEAの報告書(2023年7月公表)で指摘されているとおり、ALPS処理水の海洋放出は十分な安全性を有しており、科学的、論理的、客観的な視点に立った政府の判断は妥当である。政府には引き続き、科学的な安全性の高さについて、国内外に丁寧に情報発信するとともに、処理水の処分完了まで政府が責任を持って対応する姿勢を示し、地元や国際社会の一層の安心の確保につなげていってほしい。

〔処理水の海洋放出開始を受け、中国が日本産の水産物の輸入および加工食品の製造や調理、販売を禁止したことの受け止めを問われ、〕わが国の最大の貿易相手国であり、水産物の最大の輸出先である中国の措置は、影響がかなり大きく、非常に憂慮している。日中平和友好条約締結45周年の節目の年を迎え、また中国人観光客のインバウンド消費が大いに期待される時期だけに、一刻も早く中国が措置を取り下げることを願っている。政府には、科学的な安全性を繰り返し丁寧に訴え、国際社会の理解と後押しを得ながら、根気強く中国との対話を続けてもらいたい。

【札幌冬季五輪】

オリンピック・パラリンピックは、感動や世界の方々との親交、一体感などを呼び起こす、意義深いイベントである。札幌市は、既存の競技施設を最大限活用したコンパクトで効率的な大会を目指している。冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けて、地元の方々の理解を得ながら粘り強く地道な取り組みを続けてほしい。

以上

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